KORANIKATARU

子らに語る時々日記

春到来

既にスギ花粉の飛散ピークは過ぎたのだろうか。
今年はクスリなしで平穏無事に過ごすことができた。

20年来、スギ花粉には散々苦しめられてきた。
夜は決まって寝苦しく、口呼吸で唇はカサカサに乾き、あたりかまわずクシャミが炸裂する。
クスリなしでは考えられない、しかもクスリで少しぼんやりするため、春は仕事にならない季節であり続けた。

それが今年は一変したのだ。
鷲尾耳鼻咽喉科でのレーザー処置の賜物であろう。
感謝である。

今年は、銘記すべき春となったようだ。

その記念すべき、春真っ只中の3月11日の日曜日、夜明け前から荷物整理し、家内とともに大阪市福島区の新事務所に搬入作業を行った。
日常業務を遂行しつつ、その傍らでの新事務所の設営なので途切れ途切れの巣作りみたいなものであるが、徐々に拠点としての機能を果たすことになる。

新事務所をスタート地点にして東に進めば、市内心臓部とも言えるオフィス街が集積度を増していき、西に行けば見晴るかす下町群が迷路を描くように広がる。北に向かうと淀川沿いに工場地帯が続いてそこに中小企業が林立、南は中央卸売市場を取り巻いて食品会社が軒を連ねる。
山地と平地を隔てる活断層あるいは潮水と真水が併存する汽水域みたいな場所である。
あらゆる種類の大阪的風土が交差し独特の濃厚さが絶えず染み出てくるような場に新事務所は位置するのであった。

西宮の自宅からクルマでも電車でも四半時かからぬほど近く、大阪各所の仕事場へも容易にアクセスできる。
そして事務所ビルはリノベーションされたばかりで、広くてきれいで快適だ。鼻の通りもいいので快適さはさらに増す。

もともと、仕事場の中心地は大阪の中心部よりやや東側にある。
だから今回、いわばアウェイに陣を構えたことになる。
しかし空洞化し無個性化しつつあるような市内中心部より、存在意義を発揮しやすい場の方が面白い。
新事務所は、鳴門の潮で揉まれたタコのように、弾けるような強さ備わった仕事場になっていくに違いない。しかも美味しい。

そう、そして美味しいのだ。
一見、見渡したところ目立つ店はないのだが、つぶさにあたれば、そこかしこに名店が鳴りを潜めている。なにしろ、中央卸売市場のお膝元である。
新鮮な食材が集まり、目利き味利きが募る場なのだ。
ハイレベルな店が生まれるのは事の必定。

当分、慌ただしい業務繁忙の日々が続くが、落ち着けば名店巡りを通じ、より一層深く地域に沈潜していくつもりである。