KORANIKATARU

子らに語る時々日記

他者へのリスペクト2


言葉には濃淡があり、その配合が人の心に影響を及ぼす。
使い分けには細心の注意が必要だ。
あまりに薄いと物議を醸す。

君たちには重々言っておく。
調子に乗った軽い言葉遣いは、絶対に慎まなければならない。

ユーモアや愛嬌ある話のことを言っているのではない。
当事者にとって切実なトピックについて、薄っぺらな無分別不見識を気色の悪いじゃれた言い方で発するべきではないという話である。

状況を履き違えて発せられる軽口、相手の思いなど蚊帳の外といった配慮欠く上滑りな戯言、思慮浅いイージーな言葉遣いは、どれだけ人を苛立たせ、または傷つけることだろう。

たとえ良好なやりとりがあってもそこで穴があくかもしれない。
塞がるかもしれないし、もう塞がらないかもしれない。

気をつけるといった以上の自戒が必要だ。
決して、人を舐めたような、お調子こきまくりの軽い言葉遣いはしてはならない。
そしてお互いのため、そのような言葉遣いに対する批判精神も忘れてはならないだろう。


夜遅く、駅からの道のりを数十分走破して二男が帰ってくる。
開口一番、テスト100点やったで、という報告が聞こえる。
早朝から勉強し、カラダも動かし、ラーメン大盛りも残さず平らげる。
体躯ががっちりし、頑強さ備わって男っぷりが日に日に増している。
友人らから頼りにされ、女子らの関心も集める。
君はいつでも100点だ。


明け方目覚めると長男が釣りの仕掛け作りに精出している。
そそくさ準備し飛び出して行く。
新聞配達さえまだやってこない時間帯だ。
向かうは鳴尾浜か。

ついこの間、公園で野球の練習する姿を見て、そのボールの速さ、バットスイングの速さに吃驚仰天した。
受験の際、少々積もった余分な肉もそげ落ちてきて、ガタイが重厚さを増し、身体能力も更に向上し始めた。
何とパワフルなことだろう。
頼もしい限りである。
芦屋ラグビーで基礎体力を鍛えてもらったおかげだろう。
本当に感謝である。

野球に励み、友人と遊び、本を読み、釣りにはまるならとことんやればいい。
本格的な勉強は高三からでいい。

いつか暇ができれば一緒に釣り糸たらせて、諸々語り合おう。

10
パキスタンに逃亡したタリバンアルカイダの残党を殲滅するため、無人航空機ドローンが使用され2000人もの人が殺された。
しかし殺害されたうち90%以上の者は民間人であるとも言われている。

1万km以上離れたネバダの砂漠から遠隔操作で、ミサイルをやみくもに発射する。 
コンピュータ画面のサーモグラフに映る人型の赤がバラバラとなり、やがて地面と同じ緑に変わる。
人間が破砕され死に至る過程は画面のピクセルの色に還元される。
遠隔操作が何を引き起こすのか、現実感を伴うものだとはとても思えない。

11
フェルディナント・フォン・シーラッハの本をアマゾンで買う。
ドイツの弁護士が書く事件物であり、各国で訳されたいへんな評判を生んでいるらしい。
人間理解の一助となるかもしれない、そう直感した。
是非とも読まねばならない。
私は読む暇はないかもしれないが、君たちが読むだろう。

12
日記を書く時間は1時間取れればいい方だ。
忘れないよう伝えておきたい事柄をメモする。

数々の断片は連関しているがそれをつなぐ糸まで詳述する時間はなく、各断片を更に掘り下げる時間もない。
考察は君たちに託す。