どこへボールを放り投げても、結局はここに戻ってくる。
月曜朝、業務に身体を慣らしつつそう思う。
ここが定位置、ホームポジション。
季節の変わり目、どこか遠くへと旅情も沸くが気晴らしに遠出したところで、数日もすればここに帰ってきたくなる。
そうと知っているので、はなからここにいれば済む話だとの結論にあっさり落ち着く。
若い頃思い描いた像は、もう少し見目のいいものだったと思うが、要はノイズが多すぎうまくイメージを捉えきれていなかっただけで、実はシンプル、こんな暮らしをこそ望んでいたのだろう。
これで?と思うが、これが身の丈。
この日常が性分に合っていて快適で最適。
そう奥底において深く理解している。
だから、どこへボールを投げても、ここに戻ってくるということになる。
台風の目のなかの穏やかな晴れ間のようなもの。
理想の真っ只中は、これが?と思うくらいに、地味に簡素に静まり返っている。
誰彼指図受けることなく、適度にやり甲斐あって一日を終えるとほどよく疲れて気分よく、朝は胸が高鳴って目が覚める。
別段、たいしたことを望むわけでないのでこれで気が済み満たされる。
中年も半ばに差し掛かってようやくのこと納得。
苦味と甘味が絶妙の按配でブレンドされたこの味わいこそが実人生。
ふらふらあてどなく彷徨うより吸い込まれていく定位置があってよかった。