KORANIKATARU

子らに語る時々日記

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

寿司が30年以上昔の記憶を引っ張りだした

事務所近隣を一時間走って隣町の風呂屋で汗を流す。まだ日は高く光に満ちた銭湯は神聖な趣きすら漂うが如何せん群を抜く下町の湯。祝日早くから詰めかける客らを見渡せば右も左も訳あり顔の人相に溢れている。湯につかるという日常の光景に、穢清める民の厳…

晴天土曜の光景

晴天の土曜日の午前、福効医院の院長が子どもたちと賑やか遊ぶ姿を目にした。 山極寿一京大教授の言葉を思い出した。 「ゴリラの雄の力はものすごく強い。け れども、その雄ゴリラが小さな子供たちに囲まれると、力を抑制して子どものなすがままにたわむれる…

時間が合流する潮目

GW初日、早朝から事務所に入る。休日なので電話が一切鳴らない。静か一人で過ごす。新しいタスクノートをおろし、前回ノートの引き継ぎ事項を手書きで記していく。過ぎ去った課題の何もかもが懐かしい。順序は互い違いになりつつもすべてがいつかは終息して…

所有権100%の時間にダイブする

淀川大橋に差し掛かったのがちょうど朝の5時過ぎ。河岸の向こう、白み始めた空を背景に梅田ビル群が姿を現す。幾つもの四角い輪郭が光によってくっきりとかたどられ、ひと際目を引く。未明まで降り続いた雨の影響で川面は波立っているが、空気全体が清涼で…

会話だけが盛り上がった野球観戦

まだ四月なのにこの日の気温は今年最高、30℃目前にまで迫った。クルマに充満する熱で顔が歪み、ハンドルはまるで発火寸前、触れて一瞬手がはじき返される。空調で熱を冷ますが、春先気分のカラダはまだ暑さに慣れておらず、終日の運転は思ったよりもカラダに…

戦う、という文脈にあることは避けられない

一日の用事をすべて終えリビングに一人陣取る。待ちに待った時間。映画「クリード」を見始めた。テンポ良い出だしで一気にストーリーに引き込まれる。定番の筋をたどるがグッと胸に迫る場面が随所にあって、例のごとく学び多くやはり感動的な作品であった。…

汲めども尽きせぬ料理の世界

週末無人の事務所。我が家男子の隠れ家とも言える。そこで二男と日曜を過ごした。朝定食を向かい合って食べ、午前中は男子各々作業をし、昼、連れ立ってTSUTAYAでDVDを調達した。新作クリードを長男が絶賛していてそれを求めるがすべて貸出中であった。めぼ…

プルル震えてゾクゾクするような決然と強靭

未明から夜更けまでぶっ通しで仕事する一日となったが終始心は穏やかだった。長年の記憶の積み重ねは侮れない。今日は土曜日、そのような意識があってカラダは芯からくつろいでいた。帰途、鳴尾インターで降り熊野の郷で風呂を済ませる。後は家での晩酌が残…

これだけあればそれで十分満足だ

クタクタになって帰宅する。仕事をしていると本当にいろいろとある。脈略なくあれやこれや浮かぶが、浮かべば浮かぶほどこんがらがって収拾がつかない。神経疲弊しグリップが効かず、思考がすべて上滑りとなる。こういうときこそ注意深く運転しなければなら…

大阪を四方に取り囲む巨星たち

初夏とも言える陽気であるが建物の陰に入ると風が冷たく心地いい。耳にするのはOasis。旅人であった当時によく耳にしていた曲であり、ほんのり甘いような当時の空気が蘇って時折陶然となる。まるで旅するよう、阪神電車に乗って神戸へ向かい阪急電車で梅田に…

ゲームする姿が奇異に映って仕方ない

プクッとしたおデブちゃんがわたしの横に座ったはいいが、図体がでかいから膝があたって肘があたって居心地悪い。手に持つ傘の柄を台のようにし彼はスマホでゲームを始めた。雨に濡れた傘から電車の床へと雫が垂れ、スマホの画面が忙しなく瞬く。横目に入る…

一寸先は闇の綱渡り

子らが小学校の先生の話をしていて顔が浮かんで懐かしい。わたしたちとは異なる価値観の教師に対峙しなければならず、思えばいろいろなやりとりがあった。兄弟揃って関門に行手塞がれそうになったと言っても過言ではないだろう。教師の主張を要約すれば、中…

自分濃度の濃淡を自在に操る

ひとり夜道を走るわたしの右横を自転車が過ぎてゆく。長男だ。しかし彼はわたしに気付かない。追って声をかけようと思ってやめる。彼は彼の時間のなかにある。邪魔せぬ方がいい。二男は一足先に西北へ向かっている。各自それぞれの時間のなかにある。別の場…

肉が美味しいと家族はより一層幸せになれる

家族が勢揃いしてから二週間が経過した。しかし各々忙しくなかなか時間が合わない。焼肉を食べようと合言葉のように言い続け幾年月。それがまるで大人の社交辞令のように空疎に響きはじめた昨今であったが、きのう日曜ようやく念願叶うことになった。美味い…

物欲の呪力はますます薄れゆき

二男が足を止め私を手招きした。デリバリーバイクが停まっている。彼が指差す。フロントフェンダーにベンツのマークがマジックペンで手書きされている。歪んだ楕円が不調和で線も不均一。そのエンブレムの強烈な不細工さが目に焼き付いた。今は昔、大阪下町…

後は野となれ山となれ時代

わたしの隣に親子連れがやってきた。若い父親は現業職の方であろうか。茶に染めた髪、着古してくたびれた感のあるブルゾン、ささくれた手の様子からそう窺える。父親の横にちょこんと座る少年は幼稚園年中さんといったところだろう。コンビニ弁当を分けて食…

夢の宴は大団円を迎え、、、

武庫川をちょうど走り終えたとき着信があった。待ち合わせの場所を指示される。そこまでもうひとっ走りする。家内が運転する車内で着替え向かうは甲子園球場。観戦用のつまみの準備も整っている。トラキチ二男を伴い一塁側四号門の階段を上がってゲートをく…

下町サウナの一場面

雨だったのでジョギングはあきらめサウナに向かった。一時期、仕事後はサウナに通うのが日課のようになっていた。憂さを晴らすには走るほうが適している。それで最近はサウナに寄る回数がめっきり減った。久々訪れた馴染みのサウナは相変わらず下町風情を醸…

中年だって、いざ行かん

近くに花屋がオープンしたので花を買って帰る。小一時間走ってから晩酌を始める。肴はなすの天ぷら、アジのフライ。素材がよく、しかも揚げたて、食が進む。前に座るは二男。新しいクラスになったばかりなので話題が尽きず、映画の話も加われば、二軒目へと…

世界をグランドビッグに広げたくなってしまう

学校帰りに二男が事務所に顔を出した。近頃発売されたばかりのグランドビッグマックを携えている。店先にデカデカと広告パネルが貼り出されていて嫌でも目に留まる。日頃マクドに接しない少年であっても心揺さぶられ、気になって仕方ないといった風になる。…

そこそこの人生でいいという退却戦

日曜午前、武庫川沿いを走る。仕事から解放された休日のひととき、すれ違うジョガーの表情はどれも恍惚としたように見える。一週間で脳に充満した噴煙ガスがきれいに換気されていく。これは心地よく顔がとろけて当然だ。川べりで少年野球チームが元気いっぱ…

人が世相を物語る

わたしにとっては一日の始まりである朝五時過ぎ。土曜夜から朝まで飲んで始発待つ人にとっては長い一日の終わりの頃合いということになる。その時差の両端の人間が朝の牛丼屋で交差する。一人の青年がやたらと騒がしい。年格好は二十歳そこら。茶髪でアーミ…

後ろ姿が寡黙に語る

メールが届く。画像が二枚添付されている。いずれも後ろ姿が捉えられている。ちょうど玄関を出て通学のため駅へ向かうというところ。一枚は先に家を出た二男の後ろ姿。もう一枚は後に続いた長男のものだ。仮面ライダー1号が古巣に戻り、留守を預かっていた…

人目に従属する社会

1大阪各地で入学式が催された春皮切りの日、雨が降り続いた。夕刻近く雨脚が弱まり止むのかと思いきや、サビの部分で歌手が声を張り上げたみたいに風が吹き荒れ雨が勢いを増した。注文してあった寿司を二男に持たせクルマへと急ぐ。せわしなく動くワイパー…

ときおり新聞記事を食卓天板ガラスに挟む

4月5日付けの朝日新聞のインタビュー記事を取り分け食卓に置いた。子らも必ず目を通さなければならない。タイトルは「ホロコーストの教訓」。ティモシー・スナイダー教授の著書「ブラックアース」が紹介されている。これまで漫然と得てきたホロコーストに…

明け方5時の父子ラーメン

1生まれて初めてのことだった。朝5時、ラーメン屋にクルマを横付けした。にんにくラーメン天洋は24時間営業。朝食に何を食べたいか運転しつつ二男に聞いたところ、彼はラーメンと言った。朝からラーメン。私ども家族の男子であれば十分にストライクゾーン…

友達とは何か

ちょっと交差するあの感じ、と言えば分かり易いだろうか。例えば仮面ライダーであれば、1号でも2号でも、どちらもピンで正義の味方を張れる主人公である。それぞれ立派に強いが、時に手強い敵が出現しピンでは苦戦を強いられ劣勢に立たされるということが…

ギンギラ眼が更に熱く鋭くなっていく

1今朝の毎日新聞。世界地図が掲載されていて放心したみたいになってしばし見とれた。遡ること20万年前、アフリカに出現した人類が世界へと歩を進めた足取りが記されている。ユーラシア大陸やオーストラリアに人類がその棲息域を広げたのは4万年から5万年…

そこに運命の出会いがあるかもしれない

1子らが揃って留守になる三月末、夫婦で旅行でもと話し合っていたが、年度末にかけ仕事は立て込むばかりで忙しく持ち場を離れるなど十年早いといった状況であった。このところは、わたし自身が手足動かして業務でてんやわんやするといったことはなくなった…

雨の日も風の日も

福効医院天六いんちょの今日の往診は雨合羽姿だろう。 一度南森町で自転車こぐ天六いんちょを見かけたことがある。 あの時は真冬で芯から冷える日であった。 雨の日も風の日も盆暮れもまさにその姿は「家族のようにあなたを診ます」との言葉どおりである。