KORANIKATARU

子らに語る時々日記

残り時間はあと僅か、学ぶことばかりが増えていく

偶然のこと。 今回から手伝うことになったクリニックの院長が星光の後輩だった。 仕事の話を終え、柴田先生など教師談義に花を咲かせた。 が、後輩だからといって先輩面することなど一切ない。 何人か後輩を顧客とするが、決まって必ずわたしは敬語を使う。 …

この日に至ってやっと一箱目

さっきまで父の年齢について思い巡らせていたからだろう。 森ノ宮での業務を終え、ふと思いついた。 実家も近い。 ビールでも持って行こう。 駅を降りスーパーでビール一箱を買い求め、肩に担いで実家に向かった。 手に取ったときには感じなかったが携えて歩…

今の地点に錨を下ろし直す

自分の年齢にピンとこない。 つい先日、55歳になった。 人生の大半、もう7割方は過ぎ去った。 そう頭では分かるが、実感が伴わない。 自分の年齢をいくら凝視しても何も見えてこない。 では、と身近に目を転じてみる。 いま父が82歳で上の息子が23歳。 え?…

だんだん周囲の景色が様変わりしてゆく

抑えに抑えていたものが一気に噴き出す。 ああ、なるほど。 そういうことが起こり得る。 他人の幸福など目にしたくもないし聞きたくもない。 痛切にそう思う人が存在する。 しかしそうであっても日常の交流のなか、愛想よく受け答えしなければならない。 へ…

急所以外なら僥倖

朝起きると、右耳に違和感を覚えた。 塞がった感があり、音が通らない。 ああ。 これが突発性難聴というやつなのかもしれない。 一体どこに潜んでいたのだろう。 不調は何の兆しもなく出現しカラダをジャックする。 耳一つで済んで幸い。 この歳になればそう…

ひとりで過ごす日曜、自らの真実が明らかとなった

日曜の朝、洗濯を済ませてからジムの用意を整え、チャリに乗って家を出た。 脳みそが沸騰し耳から湯気が出かねない、そんな暑さに顔面が歪んだ。 行き先は西宮北口のガストで、空調が効いて楽園。 そこで朝食を取ってネットサーフィンしながらひとり団らんの…

スペードの5と言えばスペードの5が出てくるみたいに

以前ほどではないにせよ、たまに土曜日も仕事する。 朝、阿波座のホリーズカフェで仕事の準備を整えて、昼にかけて四ツ橋の顧問先にて業務を行った。 終了後、急ぎ天王寺へと足を向けた。 この日、かねしろ内科クリニック5周年を祝う会が行われる予定になっ…

新しい人生が手に入ったようなもの

立て続けにやってきて、そして難所は過ぎ去った。 先日、女房と小旅行に出かけた。 普段なら解放感にひたって酒量が増える。 が、酒処の松江においてわたしは飲まずに過ごした。 そしてなおかつ。 目の前で連れが飲むなら普通は一緒に飲む。 が、わたしは家…

二度あることは三度ある

空港を出てタクシー乗り場へと急いだ。 階段を降りると右が大阪、左が兵庫方面と乗り場が分かれている。 いつもなら兵庫行きはガラ空きである。 が、やはり3連休明け。 すでに列ができていて、ざっとみて7〜8組が待っていた。 タクシーがやって来る頻度を…

夕日を眺めているうち旅は終わった

朝8時には宿を出た。 本降りのなか高速を飛ばし、蒜山高原を目指した。 後部座席で家内は寝入って、雨音だけが閉じた空間に際限なく響き続けた。 人里離れた場所で分厚い雨雲に覆われる薄暗がりのなか存在するのはこの二人だけ。 そんな孤立感が際立った。 …

動いてなんぼ

雨との予報だった。 だから二日目は温泉にでもつかってゆっくり過ごそう。 そう思っていた。 それでのんびり横たわっていたのだったが、目を覚ました家内が言った。 せっかくだからどこかへ行こう。 ガイドブックをめくると境港の海鮮丼が姿を現した。 予約…

古き良き情緒が手付かずで残る町

全国屈指の蕎麦処であるから、お詣りのあと門前にある蕎麦屋を訪れた。 ひとくち食べて気に入った。 軽く済ませるつもりだったが、この一期一会の機を逃す訳にはいかない。 夫婦揃って追加を頼んだ。 店を出ると長蛇の列ができていた。 早朝の飛行機を使って…

いろいろな楽しみが最前列に戻ってきた

旅先でも飲まずに過ごす。 その方が心地よく心身ともに可動域が増えたと感じる。 かつてはお酒が一日のゴールで、要はそれに頭を占められていた。 大袈裟に言えば、旅の途にあっても心はお留守。 お酒の方を向いていた。 旅が咀嚼できるはずもない。 もちろ…

縁に恵まれれば末永く

タクシーを呼び朝の6時に家を出た。 伊丹空港を7時に飛び立ち、出雲には8時に到着した。 レンタカーを駆ってまずは出雲大社へと向かった。 この3連休はこれまで訪れたことのない所へ行こう。 そう話し合って出雲の地が自ずと浮上した。 まもなく結婚25周…

仕事の3点が出揃った

このところ外を回る機会が一気に増え、移動の合間、たまたま入ったガストが過ごしよく、以降わたしはガストづくことになった。 最初は、軽く休憩といった感覚であったが、結構この時間が侮れない。 いい仕切り直しになって態勢が整い、休憩といってもリズム…

最も若々しい人生最終盤

駅を降りるとちょうどわたしの真ん前を家内が歩いていた。 その後ろ姿を眺めながら、同じ道筋を通って家へと向かった。 月一回の鮨たけ屋の日、待ち合わせ時間ぴったりにわたしたちは家で合流した。 すぐに支度し、わたしがハンドルを握った。 いつもならタ…

青春の不均衡には不可欠だった

夕刻帰宅し、勢いが削がれぬようそのまますぐに家を出た。 クルマは出払っていて、雨模様であった。 傘を忍ばせわたしは歩いてジムへと向かった。 業務を終え、さっきガストでハンバーグと大盛りライスを腹に入れたばかりだった。 カラダの活性度は申し分な…

子ども時分の恐怖が再来

夜、家で一人で過ごす。 不要な照明は消して、ほぼ真っ暗。 この歳である。 怖くはない。 それが怖かった昔の思い出が蘇る。 土曜日の夜は憩いの時間で、ドリフの8時だよ全員集合を楽しみにしながら、まずは日本昔ばなしを見た。 子ども向けの番組であった…

登り坂のすべてが終わった訳ではないのだろう

後はずっとなだらかな道が続き、平穏無事に終着の地へと至る。 なんとなくそう思っている。 その昔、家内としばしば六甲山を訪れた。 ロックガーデンを這い上がり、その勢いのまま一気に山頂まで駆け登った。 あとは有馬温泉へと向けのんびりと下るだけ。 難…

楽しいことだらけ、そんな感覚が舞い戻った

カラダに負荷を与えつつ、頭に思い描いていたのはラーメンのことだった。 ジムを急ぎ足で出て自転車にまたがった。 運動を通じて耐性が体内に満ちていたからだろう。 外はかんかん照りでまるで炙られ茹でられるも同然だったが、ヤケクソのような感じでその暑…

お迎えの光が向こうを発った

一歩外に出て、常軌を逸した暑さにむせ返った。 目に映る景色の輝度も尋常ではない。 色鮮やかさを通り越し、何もかもが目一杯ギンギラに発光していて、これでは目までやられてしまう。 そんな怖気を覚えた。 武庫川を走るのは断念し、ジムへと向かった。 家…

守られている、それ以外の理由など思いつかない

「人気ですよ、とても評判がいい」 打ち合わせの際、そう告げられて嬉しいが、その一方で頬をつねりたくなるような気持ちにもなる。 こんな虫の良すぎる話があるものだろうか。 あれこれ苦心して営業するのがこの生業の常であるから、大手の医薬品卸会社から…

いったいどうして張り合おうとするのだろう

わたし自身は正規分布の左側にどっぷりつかる。 縁があってたまに右側に顔を出し、だんだん馴染んで当初感じた気後れは徐々に薄れていった。 が、その差についてまるで見失う、といったことはない。 その証拠、わたしは右側の面々を自慢に思い、それをときお…

正規分布のかなり右端

数年前に上の息子さんが現役で東京大学に合格し、このたび下の娘さんも現役で京都大学に合格した。 28期の大先輩からお子さんの近況を伺い、その話をさも当たり前のことのように受け止めている自分に気づいた。 大阪星光の交流のなかに身を置いていると何か…

人というものは語られる何か

ここ数日、25年という年月について考えている。 いまからカウントしはじめて、あと残り25年を生きる。あと5年を生きるより確かに長いが、過ぎてしまえば時間についてはあってないようなものであるから、量ではなく質として捉えるべき話だろう。 で、その質と…

男三人で受けたご恩を拾い直す

本屋の棚を見れば、そこがどんな土地か分かる。 たとえば六甲道や王寺にある何の変哲もないような町の本屋であっても、さりげなく重厚な内容の書物が並べてあったりする。 つまりそういった本を求める客がいるということである。 土地の知性がそれで大体推し…

地味に見えて内面はピカピカ

日記が習慣になると、ふと心をよぎる事柄に敏感になる。 誰かとのやりとりであったり、目にした情景であったり、昔の思い出であったり、なんとなくフォーカスされた他愛ない事柄を日々書き留めているうち、それらの真価がだんだん分かってくる。 ちょっとし…

飲み仲間でありかつ飲まない仲間

京都での業務を終え家内と合流した。 美容院に寄ってきたのだろう髪型がばっちり決まっていて、おろしたてのグリーンのワンピースが目に清新。 蒸し暑さがやわらいだような気がした。 夜にワインが主題のディナーが控えていた。 つまりこの日は「飲み仲間」…

わいわいやれば火もまた涼し

長く一人で仕事してきた。 それが自分に合ったスタイルであり、それに気づいてからは意識的に「ひとり」である状況を作って仕事に対峙した。 早朝から始動するというのもその一環と言えた。 誰もが寝静まる時間帯、間違いなくわたしは一人であった。 事務所…

いつか自分という存在の全貌があらわになる

過去の業務について職員らと思い出話にふけって気がついた。 業務の記憶は消えたり薄れたり、かつあれこれ混ざり合ったりして、確として残るものは数少ない。 しかし、そんななかクリアに残っている部類の記憶があって、これには例外がなかった。 タコちゃん…