KORANIKATARU

子らに語る時々日記

生きる喜びに胸が満ち、寸法まで心なしか大きくなった

ヨーグルトとフルーツといったヘルシーなメニューで朝食を済ませ、朝湯につかってからホテルを出た。 まずは仙巌園へと向かった。 広々とした庭園に薩摩のスケールを感じ、遅まきながら少しは大きくなろうとその寸法に心身を馴染ませた。 家内は薩摩切子に心…

ひとつの旅が次の行き先を切り開いていく

家内が店を選んで電話をかけた。 すでに満杯だと断られたが、それでひるむ家内ではなかった。 向かった先は町を外れた山間の地にあった。 辺鄙とも言える場所なのに満杯なのであるから、美味しいに決まっていた。 店の脇になんとかスペースを見つけクルマを…

他の地の魂に触れ自身を増強させる

鹿児島空港のレンタカー屋でカローラを借り、錦江湾に沿って時計回りでクルマを走らせた。 この一泊二日の予定の骨子は前夜になって決めた。 土曜に霧島温泉に入って、日曜は指宿温泉。 そう予定の柱を据え、宿は中間地点となる市内のシェラトン鹿児島をおさ…

頑丈にも楽しい時間が引き続いている

この土日、業務がないので旅に出た。 なんとはなしに選んだ行き先は鹿児島だった。 一泊二日を思いつきで家内と過ごす。 子育てを終えた夫婦にとってそんな無目的な時間が実に楽しい。 空港へとタクシーで向かう。 車内に流れる音楽の選曲がいい。 それで気…

移動こそ男子の居場所

飲まずともいろいろな情報が得られたからそれなりに楽しめた。 水産関係一筋に携わってきた元商社マンの方がいた。 いまは台湾にてその経験と人脈を活かし事業を営んでいる。 その方がする話が実に面白かった。 商機があればどこへでも出かけ、現地でネット…

あと一杯、もう一杯、宴会は際限なく続いた

年末に向けぽつりぽつりと会食の予定が入り始めた。 この夜は台湾からのお客さんに誘われた。 みな旺盛に飲む。 お酒が共通言語とも言える場であるから飲まないとなれば失語するも同然。 一抹の不安を感じつつ飲みの場にわたしは臨んだ。 当たり前のように全…

内面の待ち受け画面が塗り替えられた

家内の大好物といえば、筆頭にカキオコが挙がる。 牡蠣のシーズンには早かったが、昼食として他に候補になるものなどなにもなかった。 銀波荘を11時にチェックアウトし、日生方面へとクルマを走らせた。 まもなく「タマちゃん」ののぼりが視界に入った。 車…

たまには時間の切れ端たちを一掃して過ごす

湯上がりに部屋でテレビをみてくつろいだ。 アド街ック天国で取り上げられているのが元住吉だったから見逃せない。 慶応に入学した最初の2年、上の息子は武蔵小杉で暮らした。 元住吉は彼の暮らしのフィールドそのものと言えた。 息子が東京で最初に馴染ん…

これら小さな思い出が夫婦の宝物になっていく

前日はフォーが朝のビュッフェの目玉だった。 この日は味噌ラーメン。 家内の分と合わせ、2人分を注文した。 これが本場札幌の味を彷彿とさせた。 まだ盛夏とも言える東京にて、わたしたちはこの2月に訪れた雪の降る街について思い出を巡らせることになっ…

旅することで自らの心象があらわとなる

霞亭を後にし家内と運転を代わった。 途中そうめんの里に寄っておみやげを買い、網干に寄って業務に臨んだ。 予定通り30分で打ち合わせを終えてクルマに戻ると家内は英会話のレッスンを受けていた。 ともに30分を有効活用する夫婦なのだった。 時刻は午後4…

先のことなど何も分からず駆け抜けてきた

遠方へと出かける仕事が生じると、しばしば家内が運転を買って出てくれた。 それが夫婦の遠足みたいになって、仕事を済ませて一緒に遊んだ。 昔は連日仕事に明け暮れ、たいへんだった。 そう記憶している。 それでも時折、そんな遠足みたいな日が差し挟まっ…

東京タワーから秋の匂いが漂ってきた

結構値の張るビュッフェであっても欲張らない。 オムレツなど評判の品の他はフルーツや野菜などを取るに留めた。 この日の昼なら時間がある。 そう言う二男と待ち合わせ、彼の希望でスペイン料理の店を選んだ。 タクシーを降りるとすでに息子が待っていた。 …

東京湾の景色のなかにふんわりと包み込まれた

学生時代とその後数年、東京で暮らしていた。 が、ほぼどこへも出かけていない。 いわゆる出不精。 狭い世界に閉じこもり、それで足れりとしていたのだった。 家内と結婚しあちこちへと出歩くようになった。 東京についても家内と行動を共にして、はじめてそ…

家族といるだけで平穏に時が流れて満たされる

最終日となった滞在三日目も、目覚めてすぐ息子とともにプールで泳ぎ一日をスタートさせた。 朝食後は三者三様、別行動とした。 二年前のクリスマス・イブの日、博多の寿司屋「たつ庄」で韓国人カップルと隣り合った。 年若い女子と家内は意気投合し、以降、…

ソウル滞在二日目の記録

涼をとる目的で入ったリウム美術館であったが、見応えある展示物の数々に圧倒された。 大きなものは造れない。 そんな財政上の制約のなか、人の背程度の仏塔が朝鮮時代に数多く作られた。 その細部が凝りに凝っていて、そこに込められた思いが時を超えて伝わ…

旅によって日常の覆いがべろっと剥がれる

前日同様、ジムでのトレーニング前に部屋のテラスで入念にストレッチを行った。 家内の指導に従い、あちこちの筋肉を伸ばしていった。 負荷をかけ筋肉を縮めるより、こうして伸ばす方がはるかに大事。 家内を指導してくれるトレーナーはいつもそう言うらしい…

下町で寝泊まりした原初の旅

下町の小さな家で生まれ育った。 暮らし向きは豊かなものとは言えなかったが、それなりに楽しかったように思う。 週末になれば業務用の自転車で祖父が迎えに来てくれよく祖父母の家へと泊まりにいった。 祖父母の家は下町の度が更に増したような場所にあり、…

息子たちあってこそ色鮮やかに映える二万泊

ほぼ毎月。 息子たちに会うため上京している。 が、今回はやや間が空いた。 6月以来だから2ヶ月もスキップしたことになる。 飛ぶように月日は過ぎ去ってはや9月下旬。 経験的には秋が兆し始める季節の変わり目である。 東京は秋から冬にかけての時期がと…

まだこの先へと進みたい

頭重感を覚えた。 普段なら一気軽快に仕上げることのできる書類作業にさえ億劫さを感じた。 今週はいつもにも増して忙しかった。 さすがに疲労が蓄積しているのだろう。 その昔、毎週マッサージに通う時期があった。 仕事の手が鈍る前に定期的に手を打ってい…

充実の味はとっても甘い

お酒を飲まない。 それが日常の流れに馴染んではや3ヶ月になろうとしている。 先月の血液検査でガンマGTが79だったから、いまはもっと低く正常の範囲に収まっているのではないだろうか。 お酒を飲まない反動で甘いものに目がない男になってしまったが、体調…

ほんとうの姉と妹みたいに仲がいい

朝6時ぴったりに二男が目を覚ましジムへと向かった。 わたしも続いた。 風呂も水泳も朝のうちに済ませてしまう。 やはり父子、血は争えないのだった。 ソウルの青空を仰ぎ見ながら泳いで爽快。 泳ぎ終えジャグジーに並んで座って、ぽつりぽつりと言葉を交わ…

ほぼすべてのことがどっちでもいい

滞在3日目もプールとサウナの朝活を欠かさず3人一緒に朝食を終え、昼まではそれぞれ自由行動とした。 家内は博多の寿司屋で知り合った歳下女子に会いに行き、二男は引き続き服を選ぶため、お洒落な街へと赴いた。 わたしは街をぶらついた。 前日は大阪顔負…

離れてこそ強く繋がる、それが目に見えた

二男は言った。 小さかった頃、二泊三日と言えば壮大な旅行だった。 でも、いまは一瞬。 そう、二泊三日などあっという間に過ぎるのだった。 ついさっきソウルに着いたばかりなのに、気づけば帰国する時刻が近づいていた。 帰路もまたそれぞれ別の便となる。…

今回は二男を連れ、次回は長男を連れてくることになるだろう

クラブラウンジの一角にセルフでカクテルを作るコーナーがあった。 セルフであるから誰もが適当に作って自席へと運んでいた。 ちょっと勝手が分からない。 こういうときわたしならスルーする。 が、家内の教えの影響か。 息子たちはこういう場面において関心…

ソウルは幾分か大阪より涼しかった

ソウルのウェスティンホテルを待ち合わせ場所に定め、わたしと家内は午前11時に関空を飛び立った。 一方、二男は一足早く午前9時に成田を発っていた。 正午過ぎに金浦空港に降り立って、Wi-Fiをつなぐと二男からメッセージが届いていた。 11時過ぎに仁川空…

選択肢が抑止力として機能する

選択肢がある。 年齢を重ねるごと、それがあることの豊かさを痛感する。 昔は選択肢などなかった。 駆け出しの頃など、連日「やばい、やばい」と切羽詰まったような気持ちで眼前の分厚い壁にぶち当たっていくしかなかった。 だから「楽しいと思えない場所」…

女房というスパイスが人生の旨味を引き立てる

夕刻、ゲリラ豪雨に見舞われた。 改札付近は雨をしのいで立ち尽くす帰宅者で溢れ返っていた。 ぎゅうぎゅう詰めといった様相で足の踏み場もなく立ち往生していると家内から電話がかかってきた。 いま、どこ? 駅だと答えるや否や「迎えにいく」と言ってすぐ…

年相応の分別が備わってきた

帰宅すると門扉が閉まっていた。 こういう時に限って鍵を持ち合わせていない。 家内はいまジムにいる。 ちょうどパーソナルトレーニングを受けている時間帯だった。 家に入れないくらいのことで邪魔立てしては申し訳ない。 わたしは駅へと引き返すことにした…

25年前と同様、夫婦で非常階段を駆け下りた

25年前の夏。 場所はロンドン。 非常ベルの音が部屋にけたたましく鳴り響いた。 夫婦揃って飛び起きた。 時計をみると深夜の2時を回っていた。 部屋を出て非常階段を伝って表へと出た。 大勢の宿泊客らと路上に立ち、ホテル建物を見上げた場面が印象深く記…

慌てず騒がずゆったり生きよう

奈良の走り屋が撒き散らす爆音で目が覚めた。 朝食の予約の時間が迫っていたからちょうどよかった。 朝食会場へと降りる際、エレベーターに乗り合わせた年配夫婦に家内が話しかけた。 デンマークからお越しとのことだった。 暑いでしょ。 家内がそう言うと、…