KORANIKATARU

子らに語る時々日記

千年も前から同じようなもの

横で湯につかるおじさんが長い吐息のあと言った。

ああ。

 

わたしも心中呼応する。

一日のうち、副交感神経の働きがもっとも活発になるのは和らかの湯の炭酸泉のなかにおいてであろう。

本当に気持ちがいいので声漏れるのも当然と言える。

 

適度にカラダを温めてからサウナに入る。

老いも若きも裸の付き合い。

交わされる会話は人類普遍の世間話。

 

ぽつりぽつり行き交う言葉を聞きつつ千年も前から人が話す内容は同じようなものなのだろうと想像する。

心身とともに時間感覚までほぐれていく。

 

水風呂で一呼吸置き、次にスチームサウナに入る。

ちょうど花粉症の季節。

温かな蒸気が草臥れた目鼻の粘膜を優しく慰撫してくれる。

 

癒しの時間はまだまだ続く。

 

ジャグジーで、カラダのなかの戦線ライン、足裏、ふくらはぎ、もも、尻、腰、脇腹、背中、肩がリズミカルに揉みほぐされて、仕上げは露天の岩塩温泉。

しっとり艶やか、これで肌の調子も整った。

 

ほぼ毎夜、このようなリフレッシュのルーティンを経て一日を終える。

風呂をあがって、夜風に身を任せごくり飲み干す炭酸水は極上の味わい。

 

懐メロに陶然としながらクルマ走らせ、やがて家。

 

寝床で横になっていると今夜も長男がやってきた。

試験が終われば友だちとラーメンを食べる。

試験が終われば友だちと一緒に赤本を解く。

試験が終われば、、、試験が終われば、、、

 

そんな話を聞くともなし聞いて、わたしは少しずつまどろみ、ゆっくりと眠りの淵に落ちていく。

これもまた千年も前から変わらない。

今も昔も子が父にする話は似たようなものであるにちがいない。