腰痛とはこれまで無縁だった。
カラダ折る度、傾ける度、うっと声が漏れるような痛みが走り、腰痛の厄介さについて初めて学ぶ。
原因はひとつしかない。
先週の日曜夜、子らがソファに腰掛け映画を見ていた。
私は床に腰をおろしソファにもたれる。
二男が言った。
背中踏んであげる。
子らがちびっ子のとき、私は忙しい盛りであり、連日疲労を家に持ち帰っていた。
交代交代、あるいは同時に子を背中にのせ、足踏みさせたものであった。
当時のことを二男が思い出し、私も懐かしく、それでうつ伏せになったのだった。
そこそこお酒も入っていた。
気持ちいいような感じもするが、もはやちびっ子とは言えない体躯の二男である。
いや、これはやはり痛い、苦しい。
しかし今はこのスキンシップが愛おしい。
そのままの成り行きに任せてしまう。
それで腰痛に苛まれることとなったのだった。
もう二度と、子らを背中に立たせることはないだろう。
小さかった当時は思い出のなかだけのものとなった。
彼らはますますでかくなりつづけていく。