KORANIKATARU

子らに語る時々日記

中身がないから膨らませてないと萎む

朝日新聞『平成とは』シリーズは必読だろう。

まもなく終焉を迎える平成という時代の輪郭と色合いが簡潔にまとめられていてとても分かりやすい。

 

自らが置かれた時代を把握しておくことは「次」を考える上で不可欠。

次代に向け走り始めた子らにとってこそ有用な記事だと言える。

 

ルックイーストやらジャパン・アズ・ナンバーワンやら、日本が世界から注目されリスペクトされたのは、遠い過去の話。

 

経済は停滞し債務は敗戦時レベルにまで膨れ上がった。

少子化は止まらず人口は減少に転じ高齢化にますます拍車がかかる。

政官の仕組みは旧態依然のまま、日本を取り巻く数々の問題に打ち手を見いだせずにいる。

 

自信喪失が自意識を肥大化させたのか、かつては放っておいても視線向けられる側であった日本が、いまやクールジャパンと自画自賛し、まるで「見て見て」と諸外国の歓心を買おうと躍起になっているようにさえ見える。

 

朝食の時間、子らとそんな話をしていると一人が言った。

まるでインスタ芸人。

インスタの世界で注目集める一般人のことをインスタ芸人と呼ぶらしいが、その響きには一片のリスペクトもない。

ああ、なるほど。

分かりやすい例えである。

 

中身がないから常に膨らませてないと萎んでしまう。

次は何が出てくるのだろう。

猿まわしでも見るような目がインスタ芸人には注がれる。

 

たとえば、あのおばさん。

もう一人が言って、みなでその顔を思い浮かべた。

日曜晴天の朝なのに、一瞬、食卓が物悲しい空気に覆われた。