午後6時半、上新庄駅で電車を降りた。
花屋を探しつつ、折り返しの電話をかける。
2本目の電話を終えたとき右手に花屋を見つけることができた。
開店祝いの花束をお任せで、と頼み花が仕上がる間も電話を折り返す。
鳴らないときは鳴らないが、鳴るときは折り重なってボディーブローのように効いてくる。
一体何事か。
いまや電話は非常事態を告げる連絡手段となりつつある。
電話が鳴る度に肝が冷えて身構え、話の中身が分からないので応答し終えるまで緊迫が続く。
花を受け取りこれまた電話しつつ目的地を探す。
オープニングレセプションは7時開始であったが少し遅れての到着となった。
店名は海鮮串焼き八八。
八八と書いて、はちやと読む。
招待状にはご家族ご友人をお誘いください、とあったが予定合う家族はおらず、上新庄まで誘う友人の顔も思い当たらなかった。
幸い税理士の先生と相席となり孤独に過ごすことは免れた。
居酒屋であるからまずは付き出し。
付き出しと言えば枝豆程度が相場であるが、この店の付き出しは規格外の常識外れであった。
カセットコンロが置かれ鉄鍋に和牛が投じられ炙られた。
これにはさすがに驚いた。
つかみはオッケーという話であり、強烈な印象を伴い美味で不滅な思い出が胸に刻まれた。
肉もうまいがそれだけでなく、海鮮串焼きと店名にあるとおり、この店の真骨頂は魚にあった。
ミシュラン級の高級店に鮮魚を卸す魚屋から直接仕入れるから当たり前だが魚が美味くてかつお代が安い。
刺身にしても素晴らしく、火を通しレアでいただく串焼きも旨味たっぷりであった。
大満足の食事を堪能し、税理士先生との親交も深まった。
ほどよく酔って上機嫌。
電車に並んで座って帰り道をともにした。
ごはんが美味しく友人もできた。
言うことなしの一日となった。