女房が帰ってきて朝食が見違えた。
おにぎりを携えて出先を回って、夜、最後のアポが午後7時。
大阪北端とも言える場所にてバスを降りた。
少し早めに着いたので、まったくひと気のないロータリーを前にただ黙って立って時間を過ごした。
各発着場に空席だらけのバスがやってきては去っていく。
街灯がほとんどなく、だからバスの通る場所だけがその室内灯によって明るく照らされる。
そんな明滅にじっと目をやっていると、自分も一緒にどこかへ運ばれて行くような気持ちになった。
旅人気分というのだろうか。
心が弾んだ。
これから初対面の人と会う。
出会いと旅には相通じるものがある。
さあどんな扉が開いてその向こうはどうなっているのだろう。
会うことで着実に変化が生じる。
なんて楽しい仕事なのだろう。
わたしは天職と出合えた喜びを噛み締めた。