慌ただしく過ぎ去った一週間であった。
余韻にひたる間もなくまた慌ただしい一週間を迎えるのであるが、ほんの少しくらいは間隙あって一息つける。
土曜夕刻、家内に付き添い買い物に出かけた。
わたしは荷を引き受ける剛力の役である。
店の前で待ち、家内が買った食材などをわたしが手に提げ次の店へと付き従う。
野菜、魚、肉、豆腐など数店舗回ればかなりの分量となる。
この日もっとも嵩ある買い物は梅干しだった。
自作の梅ジュースが子らに好評。
特に長男はいたく気に入りまるで水を飲むみたいにがぶ飲みしているという。
母にとって作ったものが子にウケる以上の喜びはない。
その喜びが弾みをつけて、もっと上手に、もっとたくさん作ろうという気持ちを高め、料理はその質と量を増していく。
それで子らは美味い美味いと更にどんどん栄養をつけるという好循環が生まれることになる。
足が棒となり腕がちぎれる寸前といった買い物を終えたあとは休憩タイム。
市場近くの鮮魚居酒屋活菜に寄った。
煮ても焼いても刺し身でも魚が美味しく、家内も気に入っていてたまに夫婦でちょこちょこ顔を出す。
カウンターに腰掛けこの日のおすすめメニューを注文し、ひととき人心地つく時間を過ごした。
並んで話す話題の大半は子が占める。
二人の息子について情報を交換し意見を交わし今後の方針を共有した。
時に美味しさではっとなる。
そのたび家内は料理のエッセンスについて根掘り葉掘り大将に質問する。
彼女が密か技を盗む料理スパイだと大将は気づいているだろうか。
収穫たっぷり。
ほろ酔い夫婦は電車に乗って帰途についた。
家では子らが待つ。