朝、ジムに人影なくわたしと家内だけ。
わたしが走る後ろのフリースペースで家内がヨガのトレーニングをしポーズが決まるごとに「見て」と言うので壁面の鏡越し目をやってその度わたしは「見た」と言った。
終盤はわたしの隣で家内がバイクを漕ぐ。
迫り来る台風のニュース画像に二人して見入りつつ他人事のようにわたしたちはエクササイズに精を出した。
ジムを終え温泉に向かう。
入場の順を待つ客の多さに気持ち萎えて怯むが記念に一度は入っておこうと家内が言うので道後温泉本館の列に渋々並んだ。
ともに烏より手短な雀の行水。
風呂をさっさと終え本日のメインイベントに心を向けた。
粟井駅までの切符を買って在来線に乗った。
この日の昼、松山の隠れ家的名店、寿司弘を予約してあった。
定休日なのに、「どうせ店で仕込みしているから」と大将がわざわざ店を開けてくれた。
前日は予約でいっぱいだったのでわたしたちはほんとうについていた。
女将さんが駅までクルマで迎えに来てくれ数分後、こじんまりとした店構えの寿司弘に到着した。
わたしたち二人以外に客はない。
定休日であるから当然だった。
至れり尽くせり。
選りすぐりのネタが凝りに凝った技巧で握られる。
寿司はどれも素晴らしくわたしたちは感嘆しどおしだった。
生簀で泳ぐフグを手づかみにしその場で捌いた寿司に最高レベルのおもてなしの心を感じた。
わたしは21貫食べ家内は20貫食べた。
大将も女将も人が良く気さくでとても楽しく美味しい時間となった。
今回の松山散策のなかいちばんの思い出になること間違いない。
食後、腹ごなしを兼ねて夫婦で粟井の海岸沿いを歩いた。
話題は子らの小さい頃の思い出話、そればかり。
まるで山と言えば川と答える合言葉みたいなもの。
海山川、全てが子らのさまざまな場面と強く深く結びついている。
2019年8月13日 JR予讃線粟井 寿司弘