朝起きて真っ先に洗濯にかかり、長男が朝食をとる間に洗い物を済ませる。
昼食代を握らせ息子の出発を見届ける。
いつもよりゆっくり目の出勤になった。
この日は、お盆休み前日。
おのずと肩の力が抜け、気楽な感じで仕事に臨んだ。
そして大いに仕事が捗った。
気難しく構えるより、軽く流すみたいに取り組む方が能率増すようである。
夕刻前、ではごきげんようと手を振って事務所を後にし、思案する。
さて、息子の夜食は何にしよう。
焼鳥が浮かんだので道すがら名店鳥芳に寄り、わたしの分も含め一揃い買い求めた。
家内から続々と送られてくる写真などに見入って家でひとりくつろいで晩酌。
ビールがうまい。
時々、返信のメッセージを送る。
二男とはLineでやりとりするが家内とは上海訪問以来WeChatで繋がっている。
早朝から活発に動き回っていることが見て取れる。
レンタサイクル駆って本郷のキャンパスを疾走し学食でラーメンを食べてその後は東京国立博物館。
ちょうど「縄文1万年の美の鼓動」と銘打つ特別展が開催されていた。
この春に訪れた故宮博物院で古美術に関心が生まれたらしく、「縄文1万年にわたる美のうねり」を体感できたことは二男にとって収穫大であったようだ。
うちの家内は料理も上手だが旅の企画にも秀でている。
なにかにつけセンスがいいということだろう。
送られてくる写真のなか、iPadにキーボードを取り付けせっせと入力する二男の姿が幾つもあった。
何をしていたのか、そう二男に質問するとすぐ返信が来た。
紀行文を書いていた。
夏の自由課題として提出するということだった。
上の息子も文章うまいが、下の息子もなかなかの書き手。
出来栄えが楽しみである。
わたしの晩酌は絶賛継続中、その一方、彼の地の二人は夕飯を終えたようだった。
部屋から望める夜景が動画として送られてきた。
映し出される夜景を眺めてそこに吸い込まれ、ひととき旅行気分にひたる。
そのうち長男が帰ってきた。
現実に引き戻され、慌ててわたしは風呂を洗った。
このようにしばらく、長男の世話役となって家を根城に過ごすことになる。