朝、疲れのみえる長男に家内がヘッドマッサージを施した。
雨上がりの空気にアロマの香が溶け込んで、休日の滑り出しが優美なものとなった。
くすぐったいのか時折、長男が身を捩って笑い声をあげる。
それで家内も笑ってわたしも笑う。
家内の施術の腕前は相当なもの。
20分ほどで長男の表情に覇気が戻った。
続いてわたし。
頭部から首筋、肩、耳とアロマでほぐしてもらう。
週の疲労がみるみるうちに癒えていった。
料理に語学にアロママッサ。
多芸な嫁なのだとあらためて感心させられた。
土曜なのでわたしとしてはどこか遠出でもしたかったが、取り組まねばならない勉強があると家内はいう。
休めばいいのにと思いつつ、わたしも付き添うことにした。
これまでのフィールドとは全くの畑違い。
難解なテクニカルワードが並んでわたしにも手強いが家内はねばり強くこなしていく。
地に足ついたこの真面目さを二人の息子も受け継いだ。
だから彼らはわたしのような半端者では終わらないだろうと確信できる。
昼になって一休み。
『鯖とか烏賊とか真とか』に寄った。
先日たまたま訪れ夫婦揃って気に入った。
刺身定食を頼んで、職人さんの鮮やかな手さばきを眺めつつ絶品料理の到来を待つ。
巨大な生け簀のなか泳ぐ魚について聞くと、あじだという。
刺身にしましょうかと言うので、追加で注文した。
この日、二男も少し体調が悪かった。
早退して阿倍野の田中内科クリニックに行くよう言ってあった。
西大和からでも大阪星光からでも田中内科クリニックはアクセス至便。
長男も二男も学校帰りに気軽に立ち寄れるので心強く、これまで何度助けられたことだろう。
ピカイチ超一級の医師が控える保健室。
そう思えばなんと贅沢な話だろう。
まもなくインフルエンザの季節。
西大和生も星光生も学校帰りに田中内科クリニックで予防接種を受け、その後でラーメン極に友人らと連れ立てばいいのではないだろうか。
注射のあとのラーメンはことのほか美味い。
そのように家内と話していると、まもなく料理が運ばれてきた。
新鮮な身には単離された糖がたんと含まれている。
あじをはじめ、刺身すべてに心とろけた。
その後、わたしはジムに向かってサウナで仕上げた。
さすがにこの過ごし方にも飽きてきた。
抑えようもなく旅情こみあがるが、あと少しの辛抱。
辛抱してこそ花が開いて果実を結ぶ。
いつもと同様。
夕刻になると子らの食事のことが家内の頭を占め始める。
阪神高速を急ぎ足で西へ向かい地元のコーヨーに寄った。
品揃えよく買い物しやすい。
食材の仕入れは子育ての一環。
つまり付き添うわたしはこのときばかりはイクメンと化している。
後部座席に夕餉の食材を積み込んで、家へと向かう。
家内にとっては腕によりをかける料理の時間、わたしにとっては晩酌の時間が訪れようとしていた。