KORANIKATARU

子らに語る時々日記

隣はもっと晴れている

「隣はもっと晴れている」と知れば風雨極小の穏やかな日常を送っているにもかかわらずへそを曲げ、その反対、「隣はもっと腫れている」と耳に入れば自身もそこそこ腫れあがって痛いはずなのに思わずニンマリ笑みこぼす。

他者の幸福は蛇蝎のごとく忌み嫌い、一方で他者の不幸については大きく両手広げて百万ボルトの慈愛をもって歓喜抱擁する。

負けず嫌い達がする会話を耳にする度、人間一般が有するこのようなあさましいサガについて思い知らされ、最良の振る舞いは「風雨のなか腫れ上がっている」ように見せることだとの結論に達することとなる。

「浴びるように飲み、膨れ上がるほど食う」暮らしを送ってきた私は当たらずとも遠からず、的を射た実践の過程を経てきたと言えるであろう。