場所は洋食Matsushita。
長堀橋にある名店である。
そこで田中内科クリニックの新人歓迎会が行われた。
阿倍野で開院し来年5月で10周年を迎える。
スタッフの充実ぶりに目を見張る。
院長の人徳の賜物と言えるだろう。
院長もスタッフも素晴らしい。
だから、どうしたって来院者は引きも切らないということになる。
そして、その田中院長が行きつけの店とする洋食Matsushitaは、ともに息子が星光生ということでますますつながりが深まって、今後様々な船が発着する長崎の出島のような場所になっていくことだろう。
田中院長が動けば、それに合わせて大勢が一斉にずらずらっと動く。
だから当然、そのようになっていく。
夜10時、会がお開きとなって、夜風涼しいなかわたしは帰途についた。
家ではこの日、隣家の女子らを招き「すきやきナイト」と称する食事会が行われていた。
先日、ミート甲子園という地元の肉屋を知り家内は思った。
隣の女子らにここの肉を食べさせてあげたい。
彼女らは息子達からすれば幼馴染。
家内にとっては姪っ子同然と言えた。
だから、一緒に旅行するし、お古をあげるし、食事を振る舞う。
その日、食事の際に出た話題について家内が話す。
お茶を飲みつつ、わたしは耳を傾ける。
隣家女子がバイトする歯科医院の同僚は奇遇にもみな小学校の同級生たち。
その同僚女子らで集まって、先日、学校で誰がいちばん賢かったかといった話になった。
男連中がする「誰の球が最速か」、「どのボクサーが最強か」といった話と同じようなものだろう。
家内にとっては意外や意外。
そこで長男の名が挙がって、学校でいちばん賢かったのはうちの長男で決まりとの結論に至ったのだという。
同級生に甲陽と洛南に行った子がいて、甲陽に行った子が一番だろうと思っていたので、リップサービスであるにせよその結論は家内からすれば嬉しいものだった。
そんな話の流れを受け、家内とわたしは「では二男の学年ではどうであっただろうか」という話を自然と始めることになった。
二男の場合、同じ小学校の同級生に甲陽洛南神戸女学院へと進んだ子らがいた。
彼ら彼女らと比べ、おそらくうちの二男がいちばんだったのではないだろうか。
そのようにまずは仮説を立て、夫婦双方で見聞きした話を持ち寄って仮説を検証し、まもなくそれで間違いないとの結論を導き出した。
二男がいちばん。
親がする議論であるから結論は最初から決まっていたようなものであったが、検証を経れば思い込みから一段あがって事実に近づく。
日記のいいところは好きなことが書けること。
飲み会で前に座った人に、とてもこんな話は切り出せない。
この日、家内はたっぷり肉を買い、ドクター・オクトパスからはウナギが届いた。
焼いて半分は長男に送り、残り半分は二男に食べさせる。
もう深夜という時間帯。
家内の頭のなかではもう明日の料理のイメージが出来上がっていた。