KORANIKATARU

子らに語る時々日記

分厚い壁はピクリとも動かなかった

ユニフォームが8年もののお古であるとそのときはじめて知った。

流行遅れの型であることは我慢できても、綻びなどだんだん取り繕えなくなってきた。

クラブ用のショルダーバッグもチャックがすぐに壊れて耐久性がない。

この際、他の部が持つようなリュック型に変えてもらいたい。

 

そんなママ友らの声を聞いて、学校に言えばいいではないかとわたしは思ったが、部活顧問が首を縦に振らないのだという。

 

それで、学校を訪れた際、当の顧問に掛け合った。

が、話は噛み合わず平行線を辿るだけだった。

 

予算配分の都合だと顧問が言うので、それくらい保護者で購入するし、OBから支援するとの言葉ももらっている。

 

そう伝えるが、OBからの申し出は筋違いであり、私的に買う場合、経済的に買えない生徒への配慮が必要だから認める訳にはいかない。

当の部活の競技はおろかスポーツ全般に縁のなさそうな顧問はそう言った。

 

OBの支援を受け入れるか受け入れないは一教師が判断することではないだろう。

また、予算がないという話であれば保護者が学校に支出してるお金は偏って配分されているということなのか、また、買えない生徒への配慮を言い出せば、私学として自己矛盾に陥るような話である。

 

わたしはそう返したが、亀が甲羅のなかに閉じ籠もるみたい、彼は彼の思う正論のなかから一歩も出てこなかった。

 

話していて分かった。

要は、彼は彼の権限に口出しされたくないだけの話なのだった。

 

決裁権限を明け渡せば、自らがただのお飾りのような存在であることが明るみになって生徒に示しがつかない。

彼は頑なにそれを回避しようとしているのに違いなかった。

 

生徒のことがまるで視野に入っていない。

役所で小役人と話しているみたいだ。

それでも教師なのか。

 

そう言ってわたしは席を立った。

 

一教師相手では埒が明かない。

権限の正当性の確認も含めわたしは学校に電話した。

 

日を改め、大の大人が集まって学校へと陳情に訪れた。

 

一教師の一存でユニフォームがかなり古いまま放置されている。

他の部のように数年おきに新しいものを買わせて欲しい。

クラブバッグが壊れやすい。

一教師の一存でそれを使う以外の選択肢がない。

他の部が使うようなリュック型を選ばせて欲しい。

 

大の大人が仕事を放り出して平日の昼間、会議テーブを挟んで大真面目に話し合うような内容ではなかった。

 

善処できるよう検討する。

責任もって協議し、結論を連絡する。

その場で学校側は確言したが、その後、梨のつぶてとなった。

 

待てど暮らせど連絡はなかった。

同行した父兄らの催促を受け、日が経ってから確認の連絡を入れた。

はぐらかすような言い訳が返ってきただけだった。

 

そう言えば、とママ友らが口々に言った。

子らが中3のときのこと。

 

保護者有志で会合を開き、カバンや靴、制服について改善の申し入れを学校に行ったことがあったという。

カバンは重く機能的ではなく、靴はすぐに破れて靴底がはがれ実用に堪えない、シャツは洗うとすぐにほつれる。

学年保護者会の会長が議長になって要望をまとめ、品質の向上など改善を学校に求めた。

 

が、窓口となった学校担当者の返事はまさに役人。

そういう意見があったと報告はしておきます。

 

それでおしまい。

一事が万事。

 

息子が卒業したのでもう関係ないと言えば関係がない。

が、同窓会活動に熱心に力を入れている方々を見ると、複雑な思いが胸をよぎる。

 

同窓会活動はOB有志によって地道に続けられ、学校を良きものにしたいとの一念で一致しているが、学校とは噛み合っていないように思える。

 

第一線で世の荒波に揉まれるOBらと学校教師のつかる湯は対極。

良く言えば伝統主義、悪く言えば思考停止。

唯々諾々を是とする思考停止が受け継がれ、それが学校の特色とさえなっているのではないだろうか。

 

旧態依然が居座って、同窓会活動の意義を理解する教師は少ないから、横のつながりは強固であっても縦には伸びない。

 

他所の家に6年預けて卒業後、「私たちが兄だよ」といきなり後輩に切り出したところで、薄気味悪いようなものだろう。

 

結局、うちの家内は息子の卒業式に出席しなかったし、出席したがわたしも気が進まなかった。

息子にしても友だちに会えるから毎日通っただけで、日頃の胸のうちはそのようなものであったのかもしれない。

 

ちょっとの出力でもっといい学校になるとは思うが、外から働きかけてどうこうするには教師の腰が重すぎる。

教師にとっては実に楽な話であるだろう。

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