KORANIKATARU

子らに語る時々日記

河内長野市長選2012その2

選挙というのは、属人的な能力の優劣を競うものではない。
地域特性が色濃く影響し、要は、何であっても票を多く取ったものが勝つ。

地元に根を下ろし、刷り込みのようにポスターが長期にわたり各地あまねく貼られている現職のアドバンテージは強大だ。

現場で不評かこっているとは聞くものの、全体的な知名度では圧倒的な差が歴然としている。その点、ぽっと出の島田智明が敵うはずがない。

しかも、現職には若き地元のスター府議が味方についている。
デュオで売り出しているのかと見紛うほど、河内長野市内は二人並んだポスターがそこかしこ貼られ、その様子は風景として定着していると言えるほどである。

このスター府議が地元で鉄板の3万票を操れるという。

河内長野有権者が10万だとして、よほど注目を集めない限り投票率は上限4割と見込むのが妥当である。
であれば、総投票数は多くて4万票。
つまり、2万票が勝敗を分けることになる。
3万も組織票あれば安全パイだ。

島田智明に勝ち目はなさそうだ。
無為無策と陰口叩かれる現職に敗れるのではない。
太鼓持ちする若きスターに、屈するのである。

スターはこの道一筋、物心ついた頃から叩き込まれたのだろうか、寝ても覚めてもあの手この手、票の獲得に余念がない。
ホームページを見ると、コンペやらバス旅行やら、有権者の興をひくための行事に埋め尽くされている。
冠婚葬祭にもまめに顔を出すという。票取りのコンピテンシー。3万束ねる男の凄まじい執念すら感じる。背負う責任も重大だろう。

反面、票固めに捧げられた人生、票集めに最適化された人生と地元の皮肉屋に揶揄されるのも頷ける。
その人気を嫉んでか、行政に関する勉強などそっちのけで、地元を代表しての実質の仕事においては全くの体たらくだという声もある。

その若きスターが現職が演説する前に必ず露払いをする。
キーワードはいまをときめく維新の会。
何の話か要点不明のまま、橋下徹の名だけは明瞭に連呼、場を十分にあたためて後、カゴから降りる公家風情の現職にマイクを渡す。
この現職と橋下徹が何の関係かはもう一つ分からない。
この老境の元社会科教師は、あの時代の寵児橋下徹一押しの人物なのか。

委細はともかく相手は3万票持つ。
正確に言うと、現職は丸腰同然のはずだが、現職の若き座持ちが3万票持ち、勝負の行方を決定づけているということである。

おまけに、献金したのかどうか、地元の宗教団体が現職の応援にまわった。
強固な一枚岩で知られる宗教団体である。
右を向けと指令があれば皆そろって右を向き、黄色いシャツを着ろと言われればシャツ以外まで黄色にする、という。

件の学会票は4000は優に越えるという噂だ。
スター府議の票と重複する部分もあるだろうが、献金でか何によるかは知るべくもないが、それらは取り込まれ、現職は必ず勝てるという状況となった。

島田智明は、地元の力学に翻弄され、とどめを刺された。