『寝てたやろ?』
後ろから声がしたので振り向くと河内長野市長がそこにいた。
大阪星光大忘年会の日のことである。
懇親会の前に勉強会が開かれた。
わたしは張り切って前の方に座っていたので、後ろから見れば寝ていることが一目瞭然であった。
よお久しぶりと廊下で声を掛け合っているとそこに33期が集まった。
連れ立って懇親会の会場である食堂に移動した。
食堂のテーブルに腰掛ける。
横には河内長野市長。
『校門の受付に章夫の兄貴おったん気づいた?』
変わることのないその口ぶりが昔の記憶を呼び起こす。
ちょうど島田智明が京都大学を卒業し東京大学の大学院に入った頃のこと。
東京で一緒に食事した。
新宿だっただろうか、往来を横並び眺めながらビールを飲んだ。
その後、彼は天を翔けるように華麗なキャリアを積み重ね、わたしは市井で地を這った。
四半世紀を経て、こうしてまた横並び。
同級生はいいものだ。
まったく異なる道を歩み、しかしごく自然、隣り合って座ってまったく違和感がない。
懇親会はまだ始まらず、乾杯の時間を待つにしても長すぎた。
わたしは仕事があってその場を離れたが、また近いうち、隣を見れば島田、というシーンに恵まれることだろう。
同級生はいいものだ。