試験期間は非日常。
普段と異なることが起きる。
寝ていると、長男がわたしの寝床にもぐりこんできて目が覚めた。
夜の一時に起こして欲しい。
そう言い残すや否や彼は眠りの淵へと沈んでいった。
わたしは歩く目覚まし時計。
思った時間の通り、自在に起きることができる。
子らの試験中、わたしのこの特技が役立つことになる。
長男が大の字になって寝るものだから、帝国軍の巨大な軍勢に領土を占拠されたようなもの。
わたしに残されたスペースは、まさにうなぎの寝床。
平均台の上に寝るゴリラのような格好で夜一時までを過ごさねばならない。
が、悪くない。
かつては当たり前のように川の字になって子らと寝た。
隣にいるのは、我が子。
わたしの人生中途から不意に合流してきた、ニュースペック・フルモデルチェンジの生まれ変わり。
寝苦しいはずがない。
彼もそのはず。
安らかな寝息が一定のリズムを刻んでいる。
一方、もう一人の我が子、二男の方は一足先に試験を終えた。
最終日、テスト終わってそのまま部活であったが、練習しつつ笑いが止まらなかったのだという。
タフでハードであればあるほど、試験を終えた後に訪れる充実と解放は得も言われぬほどの域に達する。
だからどうせ試験するなら、中途半端な負荷であるより、切羽詰まって緊迫するくらいの方が得る糧多いと言えるだろう。
こんな風に鍛えられれば精神的な地盤は強固頑丈となる。
彼ら一門を敵に回せばことである。
組み伏せるのは簡単ではないだろう。
最近、家族で交信する際、彼らがちびっ子であった当時の写真をスタンプ代わりによく使う。
一コマ一コマが懐かしく、成長の軌跡を反芻しては悦に入る。
独り身の若気の時代には、こんなに面白く楽しいことがあるなど知らなかった。
今夜引き続き上の息子は奮闘し、下の息子は家内とラ・ラ・ランドを観て外食するという。
まるでデート。
家内にとっても、こんなに面白く楽しいことはないだろう。