KORANIKATARU

子らに語る時々日記

てんやわんやの末、ハッピーエンド


嵩ある申請が控えた金曜日、朝5時から仕事を始める。
本日予定の全件に目を通し、微修正などしているといつのまにやら8時を過ぎ、ツバメ君が現れた。

終われば任務完了と飛脚には告げ神戸へと走らせ、一方の私はツバメ君の運転で大阪市内に向かう。

雨降り続く中、二箇所に寄って後、本日の主戦場となる咲洲の大阪府庁には正午に到着。

ツバメ君と手分けし窓口に散って申請業務にかかる。
無事終了し、やれやれと庁舎一階で落ち合ったのが午後2時。

遅めの昼食、向い合ってチャーハンセットを食べる。

ミッションを終えた後の解放感と満足感は格別だ。
何度やってもこのしみじみ感はたまらない。

私は宣した。
本日、解散。

週を通じハードであった。
早く切り上がったのであれば、さっさと電源OFFにしてもバチは当たらない。
こんな日は是非とも必要なものだろう。


一人事務所に戻り、後かたづけしてさて今日は何して過ごそうとニヤニヤしていると電話が鳴った。
不穏な音色。

電話を取る。
その向こう、事業主さんが大いに慌てている。
良からぬ予感が的中した。
本日5時までに受付終えて欲しい書類がある、ということだった。

月曜にしてもらえませんか、と私はかわすが、今日中に受付印ある書類がどうしてもいる、だからすぐに手続してもらわないと困る、と向こうは引き下がる様子がない。
ただならぬ事情があるようだ。

時計を見ると3時をとっくに過ぎている。
では急ぎましょうと伝える。
必要書類をFAXし印鑑を持ってすぐに事務所に来るよう事業主に言い私は業務にかかった。

神経がピリピリと張り詰めるような時間が始まった。
脱いだばかりの甲冑を再び身に付け闘争の場へと舞い戻る羽目となったのであった。


書類の空欄を埋めていくが、パソコンの反応がとろくもどかしい。

その間も電話が鳴る。
警備業について相談があり、雇用保険適用について問い合わせがあり、建設業許可について質問が来る。

ああ、ツバメ君を帰すのではなかった。
終業を早めたことを悔やむ。
このようなフットワーク業務は、若手の仕事であるはずだった。
オッサンではなくツバメの仕事だ。

すべて、あとで折り返しますと返事し、焦燥感で殺気だったようにパソコンのキーをたたく。
パソコンにケツがあるなら、ケツを叩きまくっていただろう。
しかし、パソコンにはケツはない。

書類提出先に電話し、何とか5時までには行くので書類の受付をしてほしい、補正があれば週明け直すので、受付だけよろしくお願いしますと頼み込む。
相手も道連れ、まずは巻き込んでしまわなければならない。

そして、苛立ちは怒りに変質していく。
こんな無茶言う人とは付き合えない、二度とこの事業主の仕事はすまい、と固く決意し恨み辛みの繰り言で心乱しながら、残りの書類は手書きしていく。

事業主が4時に現れた。
クルマに乗り込み書類への走り書きを続け、捺印していく。
途中法務局に寄って謄本を取ってきてもらう間、ようやく書類が最低限整った。

コンビニでコピーを取って、窓口となる大手前の役所に到着したのは、4時50分。
根回してしてあったとおり、まずは受付だけしてもらう。

事業主のほっとした表情を目にし、私のなかのこわばりは一気に解けた。
神経のザワザワ感が瞬く間に鎮まっていく。

やはりこの心地よさはたまらない。


送りましょうと事業主は言うが、電車で帰ると固辞し天満で別れる。

クタクタであった。
ギアをチェンジするためにも少しぶらつきたい。

天満の旧松坂屋のエスカレーターを上がる。
所在なく時間を過ごすには本屋が格好。

久しく見ないうち、マンガスペースが巨大化していた。
ゲームセンターのあったエリアがすべてマンガの書棚となっている。

その広さは壮観でさえある。

名作が敷き詰められている。
圧倒的な品揃えだ。

かつて子らに買ったサバイバル全巻やおばQの全集などを見かけ郷愁のようなものを覚える。
とても楽しい。

まんがで読破シリーズのコーナーで足を止める。
これはいい。

いつか子らも古典的名作に触れることもあるであろう。
その際の予習として、マンガでなぞっておいても損はない。
ツゥラトゥストラはかく語りき、君主論、続資本論の3冊を買った。

子らのお風呂文庫をますます充実させる。
そう考えるとますます楽しい。
近く通りかかれば、外せないスポットがまた一つ増えた。

雨降りの激忙の日だったが、思わぬ副産物に恵まれた。
終わりよければすべてよし。
ささやかながらハッピーエンドの一日になったと言えるだろう。

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