夕飯までまだ間があった。
ウォーキングしようと連れ出され日曜夕刻、自宅界隈を並んで歩いた。
ふんわり春の匂いが漂って、気持ちがほのぼのなごんでいく。
この街で迎える何度目の春だろう。
地元神社に差し掛かり、鳥居くぐって二人して手を合わせた。
またこうして家族元気に春を迎えることができる。
感謝、感謝。
一時間ほど歩いて小腹も空いた。
もと来た道を引き返し自宅に戻る。
空腹の度が増していく。
子らは昼に名店マンジェのヘレカツサンドを食べ、3時のおやつに手製のたらこパスタを食べたようであった。
カツサンドもパスタもまだたっぷりと残っている。
夕飯はそれでいいよ、とダメを承知で所望してみる。
案の定、即座わたしの願いは却下された。
中年が夜に食べるものではない。
家内はそう言った。
わたしの前に豆腐の入ったサラダが置かれた。
サラダだから野菜が入っているのが当たり前だが、それにしても野菜の量が多すぎた。
食べても食べても野菜が減らない。
お代わりしていいよと家内は言うが、野菜ばかりではちとつらい。
次のメニューに希望を託す。
が、出てきたのは野菜スープ。
草食系なら夢見るほどの野菜三昧。
わたしは野菜が好きで好きでたまらない。
そう自らに言い聞かせ、汲めども尽きぬ野菜と対峙し続けた。
一夜明け、月曜。
早朝の事務所でわたしは弁当箱を開けた。
物憂さが一気に晴れ、わたしの顔からは光が放たれたに違いない。
そこにはマンジェのカツサンドにパスタが詰められていた。
中年であっても朝なら全てが許される。
感謝、感謝。
日本一おいしいマンジェのカツに、家内十八番の手製のパスタ。
月曜朝から幸先いい滑り出し。
視界良好、足取り軽快、行く手を阻むものは何もない。
リズムに乗って、今週も楽勝と相成ることであろう。