わたしがこなす仕事の大半は、そのうちだんだん楽になっていく類のものばかりである。
楽だからストレス少なく、数をこなせば充実感もあってそればかりしていたいという気も起きるが、そうは問屋がおろさず、折々途方に暮れるような仕事も降って湧く。
だから結局、楽な仕事は若手に託すということになる。
隅から隅まで知悉しているので引き継ぐのは難しくない。
それで骨の折れる業務とも対峙することになるのだが、これが結構、割に合わない。
気は塞ぐのに、売上に貢献しない。
時には敗れ去って赤字となる。
一体、わたしは何をやっているのだろう。
そう苦笑するようなことになるのだがそのたび思い直す。
楽にこなせる仕事だけに専念すれば、楽で楽しくいいことだらけで好ましい。
が、少し長い目で見た場合、そこにあるのは、循環だけであり、尽きれば終わりという展望のなさと背中合わせとも言える。
危機管理という視点で見れば、楽に甘んじている場合ではないと誰でも結論できるだろう。
遍歴の騎士のごとく降って湧いたアウェイの異種格闘技戦に挑み、ときには徒労に終わり、それどころか終わることなく徒労が長引き、目先だけみれば不毛感拭えないこともある。
しかし、そのような道草を経ずして、次なる「楽」の種と出合うことはない。
油を売っているように見えて、これこそ実は血湧き肉躍る、狩猟採集のサバイバルに通じる営為。
そのうち、拾い物に巡り合え、確かな余技が一つまた一つと増えていくことだろう。