KORANIKATARU

子らに語る時々日記

両替して円の身の程を思い知った

王宮前の地下駐車場にバスが入って無事エクスカージョンが終了となった。

各国からやってきた参加者らと言葉を交わしながら地上へと上がって皆と別れた。


一組のインド人老夫婦がいて、トレドにていろいろ話をした。

いまアメリカで暮らし暇を見つけては夫婦で海外旅行を楽しんでいる。

それが夫婦円満と元気の秘訣とのことだった。


夕刻でも太陽はまだ高い位置にあり、日差しが強い。

あの夫婦をお手本にしよう。

そんな話をしながら、汗ばむ陽気のもと夫婦で街をぶらついた。


アイスクリームを買う際、クレジットカードの読み取りがスムーズにいかず結構な時間を要したので幾らかはユーロを現金で持っておくことにした。


それにチップ用にも小銭が必要だった。

チップを渡さずとも咎められることはなかったが、誰もが食後に小銭を置いて出ている様子を見れば、郷に入れば郷に従え、真似するのが適切と思えた。


通りに幾つも両替屋があったが、どこもレートは1ユーロ200円だった。

クレジットカードの履歴を確認すると1ユーロ173円で決済されていたので、それよりもはるかにユーロは高い値を示していた。


手数料も差っ引かれ、献上した1万円は小さく溶けてたった42ユーロという姿へと成り果ててしまった。


両替してはじめてわたしは痩せ衰えた「円」の貧相を目の当たりにすることになったのだった。


ホテルで働く若い女の子が言っていた。

マドリードでもラーメンが人気で安くて美味しい。


で、値段を調べると安いラーメンでも12ユーロくらいして円に換算すれば2,000円を超える。

スペインの若い女子とは異なり、それを安いと思う日本人はいないだろう。


日本でならラーメンはせいぜい1,000円程度である。

そりゃ全世界から安いニッポンを目掛けて旅行者が押し寄せてくる訳である。


日本にやってきていい思いをする外国人を日本人が指をくわえて眺め、日本人が海外を旅するなど夢のまた夢となっていく。

 

まさかそんな時代がくるなんて。

夢にも思わなかったことである。

2024年4月28日夜 マドリード プエルト・リコ