KORANIKATARU

子らに語る時々日記

中学受験を振り返って(33期会当日)

春を間近に控えて寒暖が交互に訪れる。
一昨日は汗ばむ陽気であったのに今朝は着替えることさえ億劫なほど冷え込んだ。
朝の5時に出発しクルマで事務所に向かう。

FMでCarole KingのYou Make Me Feel Like A Natural Womanが流れる。
雨の情景から始まり、一人の女性の幸福な心情がしみじみと歌われる。
こんなふうに女性を幸せな気持ちにしてあげられる男性ってどんなだろうとぼんやり思いめぐらし、ふと、子らにいい歌を聴かせて来なかったと気付く。

聴くとなれば、折々うたかたの流行歌や歌詞の意味など全く不明な韓流ソングばかりであり、最近はユーミンをクルマで聴いて歌詞とメロディ相まって喚起される何かを心の内で育んでいるようだが、日本に古くからある名歌謡曲をもっと聴かせてあげるべきだった。
懐古志向かもしれないが、世がグローバル化に向け突き進む遥か以前、歌謡曲はもっと素晴らしいものだったのだ。

大衆的な和心の片鱗に触れ、そこに通底する何かを皮膚感覚として身につけることも必要であっただろう。
遅すぎるということはない。
さしあたり70年代あたりの曲から試してみよう。

もちろん、いま君たちが好む歌が悪いと言っている訳ではない。
Super Juniorや2pmなど韓流のノリノリの曲は、疲労が募る長距離運転の際など効果テキメンだ。
ついついカラダが動いてしまうので、血液の循環が促進され運転後の疲労度が軽減されるのだろう。
メロディにつられて加速してしまそうになる点にだけは注意が必要だけれど。

先日、下小阪の交差点を左折した際、渋滞で詰まっている右側の車列の陰から突如チャリンコが飛び出してきた。
肌色の股引姿のやせ細ったおじさんだった。
まっすぐ前だけ向いて、ゆるゆる平然と前を横切る。
シューティングゲームなら現れた瞬間にミサイル発射だ。
しかし運転中なので、即ブレーキ。

おじさんには、手前側の車線の向こうはクルマが走っている、という類推が働かなかったのだろう。
状況などお構いなし、老いたカンガルーみたいにのろりのろり前にだけ進む。

日頃、これでもかというくらいに安全運転を心掛けているので、余裕もって停車できたが、もし私が駆け出しのドライバーで、ノリノリの韓流ソングでも聴いていたら、そのままカンガルーおじさんに衝突していたかもしれない。
ぞっとする。

もしそうであれば人生暗転だ。
ハンドルを握ることは常に運命の分かれ道に立たされるのと同じことなのだ。
運転はそれほど怖い。

幸い、大過なく運転を終えることができ、その夜、予定通り33期ミニ同窓会に参加することができた。

つづく