KORANIKATARU

子らに語る時々日記

一万時間というマジックナンバーについて聞きかじって子に話す。


日曜日夕刻。
二男お気に入りの上方温泉一休へ向かう。
日曜日とあって大混雑であった。
予想通りとはいえ窮屈にもほどがあるといった混みようである。

お湯場入り口の階段に海外からの旅行者が並び入浴の順番を待っている。
立場を置き換えて考えてみる。

もし韓国やらに旅行に出かけ、名物の風呂があるとツアーに組み込まれたはいいが、そこがごった返していたら、これほど切ないことはないだろう。
一体何が悲しくて飛行機乗ってまで肩身狭い思いをせねばならないのだ。

混み過ぎだとネガティブな噂が世界に行き渡って客足減り、もとの優雅で静謐な空間が回復することを願うばかりである。

それでも二男はひととき楽しんだ。
蒸気サウナで塩をカラダにまぶせば、肌はツルツル疲労も吹き飛ぶ。
肌の目詰りぜんぶ除去され、皮膚呼吸が楽になったのか全身ですがすがしさを味わって横並び二男と過ごす。


前日の晩に読んだマルコム・グラッドウェルの「天才(OUTLIERS)」について話をする。

天才とはどうやら、巡り合わせと訓練の賜物のようである。
持って生まれたIQだってものをいうけれど、要は基準値さえクリアしていれば、後はIQの差ではなく、他の要素が明暗を分ける。

生まれた月だって関係する。
日本であれば、3月生まれは一週遅れみたいなものであり、4月生まれに比べれば不利が蓄積されかねない。
生まれた時代や、周囲の文化や環境、家庭の雰囲気だって影響してくる。
思いもよらない要素が、陰に陽に作用して、君の身の上を形成していくことになる。

このあたりは自力ではどうしようもないから運と割り切るしかない。

もちろん、この本には自力でもできることについても触れてあった。
それが「1万時間」の法則だ。
ここがこの本の見せ場、一番大事な箇所だろう。

抜きん出た人間に共通するマジックナンバーが1万時間だ。
1万時間取り組んだかどうかが、世界レベルに達するかどうかを分ける。

専門的な技能をカラダに取り込み染み込ませるために、脳はそれだけの時間を必要とするのだろう。
1万時間より短い訓練で世界レベルに達する例はない。

生まれつき飛び抜けた才能を持っているように見える天才についてもつぶさに見れば、その寡黙な1万時間を経てきているに違いないのである。


一日6時間休まず取り組めば5年足らずで超一流になれる。
1万時間を割り算すれば、そういう計算になる。

私ならせいぜい1日2時間取り組めて、そんなペースだと15年はかかってしまう。
あと2プロジェクト位の時間しか残されていない。
1万時間をクリアしているのは睡眠時間くらいしかない。

翻って、君たちには手付かずの白紙の時間、やりたい放題の時間がふんだんに残されている。
取り組む対象も選り取りみどりだ。

このマジックナンバーを頭に叩き込んでおいて、世のため人のため1万時間の奮闘をいくつも繰り広げてもらいたい。時間は大切に!