KORANIKATARU

子らに語る時々日記

言葉が減って世界が縮む

待ち合わせまで時間があったので本屋のなかをぶらついた。

見渡す限り本だらけ。

そこに記された文字の分量を思って気圧された。

 

ほぼすべての本と縁がない。

自身のちっぽけさと空っぽ具合を体感し、本屋のなか一人うやうやしいような気持ちになる。

 

このところやたら忙しくて、読書にまわす時間がほとんどない。

 

自分を通過する言葉が激減すると、僅か数ワードのみで内面が構成され、僅か数ワードだけで世界を解釈するようになる。

 

ふと漏れる独り言もバリエーションを失い、バカの一つ覚えのようなワンフレーズばかりとなっていく。

 

これはもう世界が縮んでしまっているも同然と言えるだろう。

 

意識の浅瀬にある小さな関心事のみに意識がとらわれ、足括られた家畜のようにそのまわりをぐるぐると回るだけの日々。

 

はい、おつかさん。

こんな状態で臨終を迎えるのだとしたらやり切れない。

 

まもなく年末。

休息が不可欠で本を手に取る必要があるだろう。

 

尻すぼみするには早すぎる。

弱化しはじめた言葉の眼力と脚力を取り戻し、生気を奪還しなければならない。

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2006年6月24日文明の曙 長男からの手紙