裏庭で咲くジャスミンの香りが冷気とともに寝室に満ち目が覚める。
朝8時まで眠るなんて何年ぶりだろう。
すでに起き出し家中の窓を開け放って掃除する家内を誘い、この朝は星乃珈琲で朝食をとることにした。
わたしが運転しまもなく西宮店に到着した。
ヒロコーヒーのある地域とは別種の趣きで客層も異なる。
店内は禁煙だが窓際の席の向こうに備え付きの屋外灰皿があり入れ替わり立ち替わりタバコ吸う色々なおじさんと目が合い、店内斜め前に座る年配のおばさんともしょっちゅう目が合った。
誰かをじろじろと見る。
これが下町の特性のひとつと言えるかもしれない。
ともに珈琲をお代わりし長居し10時になって店を出た。
少し西に進むと香櫨園となり街並みが変わる。
食材を買うためマンダイ西宮前浜店でクルマを停めた。
家内がたっぷり時間をかけて野菜、果物、肉を選んでいく。
ほどよく時間が潰れてまもなく11時。
更に西に進むと芦屋。
かつて週末はラグビーの送迎に明け暮れた。
もっぱら通るのがこの道だった。
夫婦で当時を懐かしみつつ芦屋入りした。
目的地はメツゲライクスダ。
オーダーしてあった盛り合わせを受け取り思ったほどのボリュームではなかったのでその場で買い足し、そして小腹減っていたのでホットドッグを2個買った。
晴天の公園のベンチに腰掛け顔見合わせてできたてのホットドッグを頬張った。
とても美味しく大人の味。
これ一個でワイン一本空くだろうと夫婦で意見が一致した。
続いて西宮方面へと戻り、今度は甲子園のいかりスーパーに寄ってチーズやらオリーブやらステーキや花を買い、その足で十一屋の前にクルマを停めてスパークリングと赤ワイン、そして並びにある鳥よしで焼鳥と串揚げを買った。
これでこの日家内が買い求めようとした品が全部揃った。
家に帰って家内は食事作りを開始し、わたしは掃除を受け持った。
あっという間に時間が過ぎてほどなく夕刻。
連れ立って熊野の郷に向かい待ち合わせの時間を決めて男湯と女湯にわかれた。
サウナと水風呂に交互三回ずつ入って爽快。
湯場に入り込む五月夕暮れの風は甘く柔らかで、湯につかることが幸せだった。
序盤も終盤も結局家内と二人で過ごす連休となった。
湯で生き返っての帰途、夕飯について夫婦で意見を交わす。
ベランダで肉を焼いて食べよう。
そう賛成多数で可決確定したがこのとき、隣家の家族もベランダで食事し互い差し入れを贈り合って会話を交わすといった両家揃い踏みの屋外食事になるなど想像もしていなかった。