大阪に戻って日常に復帰した。
普段過ごさないような空間に身を置いてきたからだろう。
心爽やか。
実に新鮮な気持ちで月曜の朝を迎えることができた。
体調もすこぶるよくテキパキと業務をこなし終始快調。
あっという間に夕刻となった。
定番の店があるとあれこれ考えることがない。
帰途、日本盛のカウンターに腰掛けた。
周囲もみな独り客で、一様に無言。
自ずと意識は内へ内へと沈潜していって、内なるスクリーンで像を結ぶのは子らのこと。
土曜の夜、天王寺アポロではなく天王洲アイルで長男と各種ステーキをたらふく食べた。
食後、運河を照らすイルミネーションのなか散策し、ホテルに戻ると直後、二男から動画が送られてきた。
二男は二男で牛肉を調達し、ひとりベランダで焼肉パーティーを執り行っていたのだった。
場末の飲み屋のカウンターにてビールを飲みつつ、長男と過ごしたシーンと二男が送ってきた動画のシーンを対比するようにして思い浮かべる。
東京に息子がいて大阪にも息子がいる。
それがなんとも分厚い、贅沢な話に思えてくる。
ふと思う。
いま彼らは何をしているのだろう。
東に思いを向け、次に西へと思いを向ける。
その意識の行き来を通じ子らへの愛情が更に深まっていくかのように感じられる。
一つ所で一緒に過ごしてきた頃は、愛情を一点に注ぐだけの話であった。
が、いまは意識が西へ東へと長距離を移動するからだろうか、愛情がふんわり大きく広がって、いわばより普遍性の高い愛情へと昇華していっているようにも思える。
いろんな人が誰かを想い、愛情をのせたそんな想いが空間を移動し、時間をまたぐ。
酔って感傷が増してきて、いい感じ。
行き交う愛情の通り道を夜空の向こうに思い浮かべつつ、風呂で一汗流してから二軒目に寄った。