朝イチでジムを終え、午前10時、家内と二人で電車に乗った。
保冷バッグを携え目指すは播州赤穂。
目的は牡蠣。
かねてより旬のうち牡蠣小屋に行こうと話し合っていた。
女子の美容には牡蠣であり、だからか家内の大好物でもあった。
芦屋で新快速に乗り換える際、幾つかめぼしい牡蠣小屋に予約の電話を入れた。
到着予定が12時過ぎでは長い列に並ぶことになってあぶれる可能性が大。
電話の向こうはそう言った。
わたしたちの出足は遅すぎた。
牡蠣のシーズン真っ只中にあっては開店と同時、11時には到着していないとありつけないということである。
やむなく目的地を姫路に変え昨年の正月に訪れた貝屋マルホウを再訪することにした。
午前11時半、姫路駅を北に出る。
真正面に姫路城が鎮座する。
さすが世界遺産。
晴天の冬空を背景に堂々とした威容を誇るその様にしばし見とれた。
歩いて3分。
名店マルホウはフェスタビルの地下にある。
カウンターに並んで腰掛けビールで乾杯しまずは焼き物からはじめた。
続いて生牡蠣、蒸し牡蠣、カキフライ、各種刺身と渉猟するがどれも美味しく気づけばビールが2本にスパークリングが1本、あっという間に空くことになった。
大満足。
また来ようと話し合いつつ、息子のための食材を調達しようと山陽百貨店の地下食に入った。
魚介と果物の品揃えに驚いた。
二人とも酔っていたせいか、今夜は松葉ガニにしようと大き目の一杯を選び、それを筆頭に物珍しさも手伝ってあれやこれやと買い求めた。
生鮮ものは保冷バッグに入れ、その他荷物を両手に引っ提げ帰途につき、新快速で横並び、すやすや眠り目覚めて気づいた。
あれだけ昼に牡蠣を食べ、夕飯などお腹に入る余地はない。
カニが傷まぬよう冷凍庫に入れ、新米の初老夫婦はテレビの前で日曜の夕方以降を過ごすがやはり一向に腹は減らず、買ってきたイカ飯だけをおやつ代わりに二人で分けた。
質素このうえない夕飯を済ませ映画など見ていると午後9時過ぎ、門の開く音がした。
冷蔵庫で待機する食材らの出番がようやく訪れた。
二男はたいそう喜ぶことだろう。
夫婦の顔に笑みが浮かんだ。