緊急事態宣言下、空気が澄んで快晴の空のもとすべてが色鮮やかだった。
遠くそびえる六甲の峰々も眼前の武庫川の水流も川辺の木々も目に入るすべての画素数が普段を上回り、景色が最先端の新品になったかのように思えた。
走って爽快。
家に帰ると二男が自主練に励んでいた。
その姿もくっきり明瞭。
動きが嬉々として見えた。
家内はリビングでヨガのレッスンを受け、それが終わってちょうど昼。
約束どおりクルマを出した。
夫婦で向かうは近所の寿司屋。
にぎり二人前を電話で頼み、店先で受け取り寿司が傷まぬようそこらにクルマを停めて車内で食べた。
灯台下暗し。
あまりに美味しく夫婦で顔を見合わせた。
近所の寿司屋もなかなかのもの。
家内が大いに喜んだので勢いづいてもう一軒はしごし同様に食べ、二男のためのみやげを買っていったん帰宅した。
家の中から眺めるだけではもったいないと思えるほどの好天が引き続いた。
またクルマを出し近所の八百屋を訪れ野菜を買い、精肉店をはしごして各種焼肉を買い揃えた。
日暮れとなって、わたしがベランダで炭火を起こした。
種火が炭に移って発火するまで所要約10 分。
肉と野菜とタレの支度が整って、息子も現れ3人で七輪を囲んだ。
息子はコントレックス 。
わたしたち夫婦は獺祭のスパークリング。
乾杯して、炭火焼肉ベランダ店の営業がはじまった。
小さな光に照らされて、火を見て肉を食べると会話が普段とは異なるものになる。
日頃の感謝を息子が家内に述べて家内はほんの少し涙して、皆がその胸のうちを語り出すことになった。
結局、スパークリングに続き赤ワインも空いて買ったばかりの肉1 kgが食べ尽くされ、残るは長男に送る分だけとなった。
永く思い出に残る素晴らしい夕飯。
最後は長男について語り合い、その帰郷を家族総出で待望するような気持ちになった。