朝、クルマを走らせ野田阪神に向かった。
強烈な寒気が押し寄せ、無慈悲とも言えるほどに街は冷え込んだ。
セーターだけでクルマに乗った家内が勝手にわたしのダウンを着て商店街へと進んでいった。
なかなか似合う。
その後をついて歩き、わたしは寒さに震えた。
開店と同時、川繁で焼き上がったばかりのうなぎ6尾を調達し、その足でたこやに向かい、とらふぐ、白子、あわび、かき、まぐろ等を買い込んだ。
この時点で朝の9時半、まぐろはすべて売り切れた。
早めに動いて正解だった。
これで豪華キャストの控室さながらうちの冷蔵庫が食材の宝庫となる。
その共演をことほいで新年を迎えることができる。
買物を終え家内の表情には喜色が浮かんでいた。
前日、家内お得意のローストビーフが作られて、肉じゃがやおでんといった家庭料理も鍋一杯こしらえられた。
もちろん甘味も買い揃えられている。
とても食べ切れないと思うが、この余剰が子らを育てた。
正月の食卓はおのずとうちの歴史を振り返る場になることだろう。
大晦日にあたるこの金曜を皮切りに元旦となる土曜そして翌日の日曜と計3日連続でお酒を飲むことになる。
だからそれを見越して今週は月曜、火曜、木曜とノンアルで過ごした。
木曜など寒空のもと二男がベランダ焼肉を設営したから一緒に飲んでも良かったが踏み留まった。
先日の東京滞在中の折は連日家内と飲んだ。
習慣飲酒者へと墜落寸前で浮上したと言っていいだろう。
夕刻を前にわたしは実家に向かった。
尼崎で途中下車して阪神百貨店に寄った。
今夜の酒に〆張鶴の金ラベルを選び、簡単にあてを見繕った。
寿司は各種ネタが3貫ずつ入ったパックを選んだ。
母の好物が寿司であったことを忘れることはない。
実家の炬燵で親父と二人。
静かに酒を飲んだ。
昔の写真を整理したといって、いつか処分するなり好きにすればいいと言ってそれらが収まる棚を教えてくれた。
母の写真も大事に仕舞ってあった。
令和三年の最終日、両親の歴史をアルバムで辿って、紅白が始まる頃合い実家を後にした。