今夜は鍋にする。
家内がそう言ったので、仕事とジムを終えたあと、とらふぐを買って帰途に着いた。
冬は鍋。
夫婦で向かい合わせ。
十一屋で選んだスパークリングを開けて乾杯した。
飲むごとに家内の饒舌が勢いを増して楽しい。
そうそうと日中に買ったコートやらセーターを着てファッションモデルみたいに気取っておどけ、ヨガの話ではいちいち席を立ってポーズを交えるものだから、わたしからすればライブでコントでも見ているようなものだった。
深夜に近い時刻。
二男が帰宅した。
そんな時間であっても、平然とかつ楽しげに家内はちゃんと食事の準備をし始める。
そこが家内の偉いところであり頭が下がる。
長男のときもそうだった。
家に帰ってきての楽しみは夜食。
息子らの胸のうちが分かっているから家内は最善を尽くし、だからうちの食卓は深夜にもっとも豪華なものとなる。
わたしの夕飯は前座に過ぎず、息子の夜食がメインと言えた。
この日、わたしたち夫婦はとらふぐ1パックを分け合ったが、息子はひとりで1パックを平らげた。
これから真冬。
寒さ増すごと、夜食の充実度も増していく。
これもまた長男のときと同様となる。