ひとり夕飯を済ませて帰宅すると家では焼肉パーティーがたけなわだった。
ベランダに家内と二男。
七輪で向き合って肉を焼いている。
炭の火は二男がドライヤーなどを使って起こしたのだという。
家で過ごすのも悪くない。
新たな発見でもしたかのように弾んだ口調で家内が言う。
料理を作って、家を片付け、Netflixでドラマを楽しみ、Zoomでヨガのレッスンも選り取り見取り。
これで十分に幸せ。
なんと安上がりなことだろう。
家内の話を聞いて改めてわたしも気づいた。
幸せなんてタダ同然。
食後、家内は次の日の料理を仕込み、わたしはウイスキーを飲みながら本を読み、そんな地味な時間で心が満ちる。
静かくつろいで過ごすわたしたちをよそに、二男はリビングで勉強をはじめた。
即席のデスクに腰掛けて、ネット配信される塾の講義を大きな画面にミラーリングして受講する。
小さい画面で見るより大事なところが頭に残るから効果も大。
あらゆる場面でAmazon Fire TV Stickが重宝している。
品薄になって価格高騰するのも、その価値を思えば納得できる。
この夜の焼肉の様子について、家内が長男に写真を送ると即座写真が送り返されてきた。
このところ朝7時に集合し、仲間と多摩川沿いを走りそれがかれこれ10日も続いているという。
送られてきた写真を家内と眺めてしみじみ思う。
連れ立つ仲間がいる。
それが親としていちばん嬉しい。
二男が講義を受け終えて、自室へと場所を移した。
今度はわたしたちが大きな画面の前に陣取って、Netflixで『愛の不時着』の続きを観始めた。
そこをそんな風に。
作劇のツボがしっかり押さえられている。
秘めた願望がほどよく刺激されるから観て心地よく、だから当然、誰もがハマる。
楽しみにするドラマがあると日常の彩りが大幅に増す。
家で過ごすだけで十分楽しい。