特に興味はなかったが、家内に聞いた。
恵方巻きを買って帰ろうか。
あちこちの店頭で賑やかに販売されていたし、立ち寄った野田阪神のイオンでもあの手この手、「鮨よしたけ監修」といったような触れ込みで様々な巻きずしが売れられていた。
家内の返事はワンワードだった。
要らない。
他所様がどこを向こうが、うちはわが道。
そして時間差を置いて節分の日の翌朝。
家内は早朝から起き出し、飯を炊き肉を焼き各種具材を取り揃え、手製のボリューム・キンパを作り始めた。
食べて息子は最大限の賛辞を母に送った。
うちではありふれた光景。
だからいつだって、鬼は外で福は内ということになる。
朝、うちのファイターらを送り出せば、家内はオフ。
このところの疲労を抜く必要があった。
福島のホテル阪神にクルマで乗り付け昼にトータルビューティーコースを受け、そのまま午後の時間をスパでゆっくり過ごした。
それで夕刻には見事復活を遂げた。
帰宅すると、肌はツヤツヤピカピカ、笑顔弾んで元気そのものの家内がいた。
エステの話を聞きつつ夕飯を済ませ、食後の夫婦の憩いはNetflix。
久々、そのラインナップをみてわたしは大いに驚いた。
なんと『SKYキャッスル』と『被告人』が配信されている。
かつて夫婦でかじりつくようにして見たドラマであった。
最強打線に更に王と長嶋が加わったようなものであるから凄まじい。
うっかり迷い込めば、いくら時間があっても足りず、もはやこの王国からは逃れようがないだろう。
この夜、わたしたちは『ボイス 112の奇跡』を見始めた。
映画かと思うほどのクオリティであり、序盤から息もつかせぬ展開。
平穏な暮らしのなか遠く忘れ去っていた「極限の緊迫」を散々味わい、一話を見終えただけでヘトヘトになった。
そして日常に還って人心地。
その肌触りがより一層優しく感じられ、だから安眠を約束されたも同然という話であった。