KORANIKATARU

子らに語る時々日記

同じ絵の中で暮らした喜び

西宮の事業所を幾つか回って、終わったのが午後3時。


とっくに昼を過ぎ空腹だった。


確かここらに焼肉屋があったはず。

そう思って西宮駅周辺を物色するが、どこもすでに中休みの時間に入っていた。


幸い西宮肉劇場という店が営業中で、丼が売りの店ではあったが焼肉であることに変わりはない。

そこに入ることにした。


さあ、食べよう。

戦意は高まっていたが、券売機の操作でまごついた。

加えて後続客もあったから、的確冷静に判断できず、単に目立ってボタンの押しやすい、盛岡冷麺&肉丼セットを選ぶ他なかった。


予想とは裏腹。

麺がぴょんぴょん舎の冷麺に酷似していてわりと美味しく、肉丼も結構いい線いっていた。

メニューをみれば、種類多く、スペシャル級の品揃えも少なくなかった。


再訪に値する。

次回は獲物を狙い定めてから券売機に向かい合う。

そう決めた。


この日全国で何人もの中学生が熱中症で搬送された。

ニュースが伝えるとおり、西宮一帯も灼熱だった。


スーツ姿で動いていたから、かなりこたえた。

だから家に帰って着衣をかなぐり捨て、短パンとTシャツに着替えただけでカラダに歓喜の風が吹き抜けた。


夕刻、ヨガを終え帰宅した家内に買物に連れられた。

行き先はパルヤマト西宮店。


肉に魚に野菜に果物。

どっさり買い込み屋上の駐車場に出ると、山からの風が勢いを増していた。

そのせいで地を覆っていた熱はすっかりやわらいでいた。


かなり風が強くクルマのドアの開閉もままならない。

荷物の搬入に難儀したが、荷入れを終えて夫婦して眼前の景色に目を奪われた。


甲山の背後に緑豊かな山々が連なり空が夕暮れの色にほんのり染まっている。


この地で暮らし子らが育った。

深い愛着の念がこみ上がり、じんと来た。


わたしの郷里は大阪の下町だが、息子らの故郷はここ西宮。

彼らの胸に宿っているであろう原風景に子らが育った数々の場面を重ね合わせ、この絵の中で一緒に暮らした喜びを夫婦でじんわり噛み締めた。

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2021年6月10日昼 西宮肉劇場

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2021年6月10日 夕飯