前夜、薬草湯に入ったからだろう。
ぐっすり眠れて目が覚めると7時半だった。
家だと寝過ごしても5時半には起きるから久々の朝寝坊となった。
和食レストランで茶漬けを食べカフェで珈琲を飲み、そしてまた薬草湯に足を向けた。
さっと風呂に入って、この日のメインであるミネラルミスト浴に夫婦で臨んだ。
親切なコンシェルジュの誘導に従い、温かなミストのなかに寝転がる。
たっぷり汗が出て快適。
家内の話を聞いてるうち時間はすぐに経過した。
ミネラル水をごくごくと飲んで休憩し、そしてまたミスト浴に入ってそれを交互に繰り返した。
じんわりカラダが温まりその温もりが持続して心地いいことこの上ない。
家内など前夜はエステでオイルマッサージ90分コースを受けていたから、伊勢の地にてまさに命の洗濯をしているようなものと言えた。
計6回ミストに入って限界。
ちょうど昼になっていたからそこで引き上げ、雨降る中、ホテルから下った場所にある農園レストランに向かった。
ぽかぽかとカラダが温かく、厳しい寒さがむしろ気持ちいいと感じられた。
ここのイタリアンも唸るほどに美味しかった。
前日は昼も夜もスペイン料理を食べ、どちらの店にも大いに感心させられた。
ちょっと普通ではないレベルの名店が辺鄙とも思えるこの一帯に集まっているのだった。
かつては子どもたちが家にいた。
だから、伊勢を訪れても日帰りしていたが、いまはゆっくりできる。
伊勢での時間をのんびりゆるゆると満喫し、夕刻、帰途についた。
予約してあったしまかぜの展望席はトラブルがあったとのことで封鎖され、わたしたちは別席に案内された。
が、席がどこであろうと快適さに変わりなかった。
暮れゆく車窓の景色を眺めながらゆったり座って、小さな旅の思い出を反芻しまた来ようと夫婦で来年の抱負を語り合った。