午後、家内が仕事の手伝いにやってきた。
現れると同時、事務所がパッと明るくなった。
家内が着ていたオレンジのカシミアセーターも明度の向上に一役買ったが、持ち前のキャラクターに寄るところがはるかに大きかった。
あれこれ喋って賑やかになって楽しい。
おまけに人の目を盗んで、最近お得意とするテンダラーの動きを随所で真似るから笑ってしまう。
午前中に家事を終えジムでトレーニングしヨガのレッスンも受け、それでも疲れを見せる様子が全くない。
しばし滞在し用事を終え、颯爽と去ったかと思えばほどなくしてメッセージが届いた。
事務所を後にしクルマを走らせ家内が向かった先はパル・ヤマト西宮店。
夕飯メニューの候補が写メとなって送られてきて、わたしは仕事の手を休めリモートにて買い物に付き合わされることになった。
パル・ヤマトは良質な食材の品揃えで群を抜く。
肉に魚に収穫大で、家内のテンションは更にまた右肩に向いて上がった。
夕刻、帰宅すると家内は英会話のレッスンを受けていた。
昼に食べた寿司の写真をモロッコの美人講師に見せ、ネタについて解説しガリの説明まで加えている。
寿司の魅力について力説する家内を横目にわたしはジムへと向かい、帰ってくると夕飯の支度が整っていた。
家内が買ってきた糖質オフの発泡酒を二人で飲み、豪華な夕飯を分け合った。
カニもエビもその身を家内が取り分けてくれる。
すべてむき終わったとき、電話が鳴った。
家内の友だちからだった。
家内がミーちゃんだとすれば相手はケイちゃん。
そんな親友の子は男二人でうちの構成と全く同じ。
ただ、歳はうちの方が先行していて、友だちの子は上が来年中2になるというところ。
先日、家内は息子らの冬物のお古をケイちゃん宅に送った。
普通、中古の服など得体が知れず気持ち悪いが、知って馴染んだ相手からなら喜んでとなる。
お古と言ってもほぼ新品であるから、貰って邪魔にならず、貰ってくれて有り難い。
だからミーちゃんとケイちゃんの仲もまた更に睦まじいということになる。
電話でのやりとりを横で聞いて思う。
主婦はいつだって忙しい。
家族の用事に大半が割かれ、自己研鑽も欠かさなければ残る時間は知れている。
だから友だち付き合いはままならず、水商売するママさん的な感性でも備えていないと中途半端な関係になって、ことごとくが疎遠になっていく。
しかし、数が絞られても残る友だちというものがあって、そんな存在は切っても切れず死ぬまで疎遠になるなどあり得ない。
おそらく行き着いたその数が最適値。
互いがプラスに作用し合う必需の間柄には定員があって、だからこそ質も高まる。
もちろんわたしもそのうちの一人に入っている。
おそらく、多分。