午後6時、武庫之荘駅の北口で家族を待った。
日が延びてまだ明るい。
電車が停まり、改札口に向けて大勢の人が押し寄せてくる。
目を凝らすと、電話が鳴った。
家内と二男はすでに目的地に向かって歩いているという。
出し抜かれたわたしは急ぎ足で家族を追った。
鮨いちりんのカウンターに並んで座りビールから始めた。
66期今季入試組の結果が出揃って、良い結果もあったがそうでないものもあり、総じて半々。
よって、予定していた卒業旅行は取りやめにするという。
わたしも二男の考えに賛成した。
世は厳しい。
卒後一年となる66期はもう誰も浮かれている場合ではないだろう。
息子と話しつつ、友人らの無念を思う。
ほんとうに大学入試は甘くない。
その無慈悲にぞっとする。
親御さんの胸中も手に取るように分かる。
星光に入学したとき、こんな不本意な結果になるなど夢にも思わなかったはずである。
もちろん最優秀層は下馬評通りの結果を収めた。
松井先生のご子息は現役で東大に合格し、その他、東大、京大、医学部など吉報が寄せられた。
が、大半の者が苦汁を呑んだというのがほんとうのところだろう。
今年は東大16人(現役13人)、京大27人(現役22人)、国公立医学部31人(現役19人)との結果ということで、たまに善戦する年があるだけで、ここ数年の推移を見ればこれが星光の標準値と見て取れる。
実際の受験生から聞こえてくる実感として、東大と京大の差がますます顕著で、だから進学実績の比較指標は東大ひとつで見るのが明快だろう。
昨年66期は9人だったが今年67期は13人。
現役で東大に13人も通る学校は全国的に見てそう多くない。
そういう意味でまだまだ捨てたものではないとも思えるが、西大和と較べての見劣り感は否めない。
小さい頃から塾に通ってピカピカの学力をもって入学した者らも学校の別によって異なる結果に行き当たる。
ほんとうに基本的なこと。
導く学校の努力や執念といったもので差が開く、そういうことなのではないだろうか。
個に還元すれば分かりやすい。
努力や執念がものを言うのは誰もが知るとおり当たり前のことである。
帰途のタクシーのなか、息子に語った。
大学受験までは自動車教習所の場内をぐるぐる回って優劣を競う戦いと喩えられるかもしれない。
が、大学以降は、場外となる。
わたしたちはもはや場外に置かれている。
毎日が真剣勝負で、だからより一層頑張らねばならない。
家族で今後の奮闘を誓い合った。