家からタクシーで伊丹まで30分もかからない。
離陸して羽田に着陸するまで40分で、京急と山手線を使えばそこから渋谷まで半時間あまり。
このようにして家内のもとにたどり着き、昼にホテル下でとびきり美味しいパエリアを食べた。
買い物するという家内と途中で別れ、わたしはその日宿泊するホテルに向かった。
部屋で業務に勤しみ夕刻、ホテルに到着した家内と二階の大浴場に向かった。
風呂は無人。
広々とした空間を独占し長旅の疲れを癒した。
聞けば家内の方も風呂は無人だったという。
夕飯について意見が一致した。
ホテルからの眺めが素晴らしい。
だから何か買って来て部屋で食べることにした。
ロビーでタクシーを呼んでもらい四谷のアトレに向かった。
電話で予約していた料理を家内が受け取り、わたしは飲み物やつまみなどを調達した。
引き続き、止まぬ雨のなかタクシーでホテルに戻り、バルコニーに並んで座った。
雨が媒介となって神宮の杜からふんだんに緑の香が漂ってきて、雨にけぶる夜の見晴らしも申し分ない。
心地よさにひたって夫婦でワインを注ぎ合い、わたしたち家族の歴史を振り返るうち、白が空いてやがて赤も空いた。