業務を終え、駅に向かって歩き始めた。
ちょうどそのとき、まるでドラマのようにタイミングよく、前からタクシーがやってきたので手を挙げた。
武庫之荘まで、と伝えそこから所要15分ほど。
「焼鳥谷口」に着くと、ヨガを終えた家内が先に待っていた。
いつの日か。
そう念願していた店であった。
今回、伝説の店の予約が取れたのは家内の功労だった。
インスタをチェックしていて、たまたま告知されたゲリラ営業の機会を捉えることができたのだった。
コースの料理が始まって、出だしから唸らされた。
噂に違わない。
大将は言う。
鶏が美味しいのであって、私は何もしてません。
が、美味しさを引き出すのにセンスが不可欠で、飄々と見せやはりそういう意味で大将は只者ではないのだった。
家内の感想も同じ。
こんなおいしい焼鳥を食べたのははじめてのことだった。
予約が取れないはずである。
聞けば、来年までいっぱいとのこと。
だから、時に思いついてゲリラ的に店を開け、新規のお客さんを招くのだという。
コースも終盤に差し掛かった頃、カウンター席の隣席が料理人だと家内が気づいて話しかけた。
京都東山の「広東旬菜 一僖」の店主ら一行で、その場で検索すると名店だと分かった。
食べログも4.0に近い。
次回京都へと赴いた際には必ず訪れることになるだろう。
このように家内によって、また世界が広がることになる。
大満足で駅に戻ってタクシーに乗って帰途についた。
大型連休、前夜。
実に幸先のいいスタートとなった。