土曜日はカンカン照りのもと、日曜日は小雨の混じるなか武庫川を走った。
身を焼かれるような暑さにも参ったが、熱い湿気に覆われる息苦しさにも打ちのめされた。
だから両日とも後半にはがくんとペースが落ちた。
が、「走る」から「歩く」へと降下しつつも持ちこたえ、歩きはせず意地でも走り続けた。
ゴールを目指し必死に堪え、誰に課される訳でもないのに奮闘する自身に不思議を感じた。
いったいこれは何なのだろう。
走りつつ、自身の内面でいま何が起こっているのか凝視した。
歩けば楽なのにそれに抗い、普段の行程を完走することにこだわって、その思いが揺らがない。
譲れない何かがそこに懸かっているとしか言えず、凝視しているとだんだんその何かが輪郭も顕に浮き彫りになってきた。
自身への信頼。
失いたくないのは、その一語に尽きた。
だからここで屈する訳にはいかないのだった。
で、思う。
その昔、わたしはそんな男ではなかった。
矜持といったものとは無縁で適当でいい加減、三度の飯より楽が好きという人間だった。
何がどうなってこうなったのだろう。
答えは簡単だった。
わたしを変えたとすれば仕事を於いて他になく、仕事を続けることでささやかな自負心のようなものが形成されたと言って間違いなかった。
実際、自分を頼みとできなければ自営の仕事などこなせる訳がなく、それを継続するには自身を少しでもマシな者として確立させる必要があった。
そして、自身への信頼が核となって好循環が招き寄せられた。
すべては明日のため。
ジョギングなど仕事に関係しないが根では繋がっている。
土日両日、決めた行程を完走しわたしはほんの少しまた強化された。
だから週明けの業務において、わたしの武運は約束されたも同然と言えた。