KORANIKATARU

子らに語る時々日記

帰宅後もずっと感動の余韻が引き続いた

駄目でもともと。

そんな思いで夕刻の5時、筋トレの合間に家内が電話を掛けた。

呼び出し音が数回鳴って、ダメ元のはずが、なんと電話が通じた。


おめでとうございます。

相手はそう言った。


晴れて鮨 三心の予約が取れたのだった。


店は事務所の間近にあって、わたしたちは何度も前を通りかかっていた。

数ある大阪の寿司屋のなか、食べログで不動の一位であると知って気にはなっていたが予約など取れないだろうと諦め、遠くから眺めるだけの存在だった。


それが、おめでとうございます、である。

やはりうちの女房の引きは素晴らしい。


この日、夫婦揃って食事を抜いて店に向かった。


カウンター席に並んで座り、まずはじっと店主の所作に見入った。


店は細部にわたってこだわり抜かれ、所作振る舞いまで含めて美しく、息を呑んだ。

だから、なかなか最初は言葉など発せられなかった。


白子のスープを皮切りに、各種刺身が供された。

飲み込むのが惜しいと思えるほど味わい深く、じっと黙って、まるで祈りを捧げるみたいにわたしたちは咀嚼した。


握りについてもアート作品同然と言えた。

どの面構えも素晴らしく、どの角度から見ても完璧な出来栄えだった。


だからひとしきり眺めてから、口にした。

そして同じく、じっと目を閉じその作品が醸す美味に酔いしれた。


ひととおりコースが終わって、もちろん握りを追加した。

この機会を逃す訳にはいかなかった。

ウニ、焼きサワラ、煮ホタテ、そしてトロたく。


最上の美味がダメ押しで続き、幸福な余韻がブーストされた。


店の前で店主と記念写真を撮り、隣接の茶屋でデザートを味わった。

おみやげのいなり寿司を携え、夫婦揃って笑顔満面にて帰途についた。


谷町筋に出たところで家内の電話が鳴った。

神戸北野坂の木下さんからだった。

兵庫県下、イタリアン分野で食べログナンバーワンの店である。


来月はそこを訪れる。

天才を渡り歩く夫婦行脚はこの先もまだまだ続くのだった。

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2023年1月23日 谷六 鮨 三心