KORANIKATARU

子らに語る時々日記

この女房と結婚してよかったこと

エステ帰りの家内と店で待ち合わせた。

 

場所は、西宮の「鮨たけ屋」

このところ毎月予約し夫婦で通っている。

 

この日も出だしから素晴らしい。

美味を噛み締め、ビールをごくり、喉へと流し込んだ。

 

家内と結婚してよかったこと。

そんな話を皮切りにわたしは話し始めた。

 

もともとわたしは出不精だった。

趣味が読書と映画で、自由な一日が与えられても外へ出ることなく内へとこもる。

それで一日を過ごして、それを無為だと思うことはなかった。

 

しかし、いまは異なる。

そんな過ごし方などまるで「無重力に揺蕩う」ようなものであり、負荷なく頭のなかだけで自己完結する、極めて無精な話といったように思える。

 

家内と結婚して、そんな過ごし方が「いざいかん、重力の世界へ」といったものに様変わりした。

 

外へと飛び出し、あっちへこっちへと動く。

たいへん疲れるがカラダ全体でずしりと喜びを感じることができ、そんな一日は振り返って貴重な思い出にもなっていく。

 

だらりと寝転がっていた無為な時間が、稀有なものとなって屹立する。

つまりそこから人生が始まった、とも言えるだろう。

 

重力のなか嬉々として格闘する。

家内のそんな性質は、たとえば料理づくり一つにも表れている。

 

一口に料理づくりといってもたいへんで、手間隙かかって骨折りだから、自称料理好きは山ほどいても実際に作る人は数少ない。

 

つまり、家内は虚偽や虚飾の正反対の側にいる人と言え、だからうちの暮らしが実質あるものになったのだろう。

 

そんな話をうなずきつつ聞き、家内はビールの次に白ワインを頼んだ。

さあ、前座の話はこれにて終了。

おいしい寿司を味わいながら、あとは家内の二万語に耳を傾けるばかりとなった。

2023年10月19日 事務所にて朝 コンビニおにぎり,昼 コンビニ弁当

2023年10月19日夜 西宮 鮨たけ屋