JRが動いていなかったので、自転車で西宮北口まで向かい、そこから阪急電車を使った。
行き先は豊中で、駅から客先まで15分ほど歩かねばならなかった。
業務を終え、帰りは事業主がクルマで駅まで送ってくれた。
最敬礼でクルマを見送り、ちょうど昼時だったからそこらを歩き目についたラーメン屋に入った。
食べ終えたとき、大阪市内をクルマで動く家内から連絡が入った。
このあと家内は北上し、わたしは南下する。
動きが正反対だったから、クルマでピックアップしようかとの提案は気持ちだけいただくことにした。
で、ひとり阪急電車で南へと移動しつつ考えたのだった。
いまのわたしがあるのは家内のおかげ。
そう断言して間違いないだろう。
駆け出しの頃、わたしを信じ応援してくれ、いまも同様。
事務所の仕事を手伝って西へ東へとフットワーク軽く動き、すべてにわたって献身的で向上心に溢れ、いつも明るくユーモアたっぷりで、ここいちばんで気が強く競り負けない。
仕事の一線に出ても活躍し、もちろん後方支援も申し分ない。
料理への探究心は若い頃より一層深まり日々実践し、きれい好きだから家はいつだって整って、寝具も衣類も清潔に保たれている。
わたしからごっそりと抜け落ちている能力が見事家内によって余りあるほど補完されていると言え、そんな状態をいつしかわたしは当たり前と感じてきたが、よくよく考えれば、女房抜きではいまの現状は立ち行かない。
もしこの女房がいなければ、寂寥の極みに陥るだけでなく、あらゆる面で不自由が際立ち、かなりの不全感に苛まれてしまうことだろう。
だから日々女房に感謝して、彼女が元気に楽しく過ごせるよう心を配ろう。
梅田で駅を降り、乗り換えのため東梅田へと続く歩道橋を南へと進みながら素直にそう思った。
最強寒波が残した冷気が実に心地よく感じられた。
女房が幸福になれば巡り巡ってわたしが幸福になる。
わたしたちは小さな小さな運命共同体で、だからささやかであれ好循環が生じれば幸が隅々まで行き渡る。
心得るべき鉄則はとても単純なことなのだった。