なんであれお手本があると、それをなぞればいいのであるから楽である。
いまどうすべきか。
そんな状況判断が必要になったとき、お手本を思い出せばたちどころに正しい意思決定が行える。
大助花子のする漫才を、かつては漫然と見ていた。
いつかそれが暮らしに役立つとは当時思いもしなかった。
いましばしば大助のことを考える。
その図を思い出しては、見様見真似、何かを言うのではなく、それを手本として積極的に口ごもる。
元始女性は太陽であったというとおり、万物はそこを中心として巡っている。
それが宇宙の法則で、だから男子が出しゃばるなど自然の秩序を乱すような行為と言え、世の揉め事はそんな不自然に端を発するから、慎むべし、との結論が導き出される。
つまり、男子は大助であることが摂理に適う、ということである。
夫婦円満の極意は実にシンプル。
ああああと口ごもる大助になれば、花子は太陽となってこちらを明るく照らして、心やさしい。
多弁であるのは仕事や日記の場だけで十分だろう。