KORANIKATARU

子らに語る時々日記

夜の車内、見知らぬ人の表情がより生々しいものに感じられた

先日、女房と夕飯を食べた帰りのこと。

 

JR海老江駅のホームでわたしたちは電車を待っていた。

まもなく電車がやってくる、というところでアナウンスが流れた。

 

ただいま新福島駅でお客様が転落し、その救護のため運行を一時停止しています。

 

転落という言葉から、酔った人が誤って足を踏み外しホームに落ちた、といったイメージで家内は捉えたようだが、駅のアナウンスで流れる「接触」や「転落」は文字通りの意味ではないだろう。

 

10分ほど待ったところで、タクシーを使おうとわたしは家内を促したが、ちょうどそのタイミングで電車が運行を再開するとのアナウンスが流れた。

 

上りの電車は引き続き停まったままであったが、下りは動き出したようだった。

結局、20分遅れで電車がやってきた。

 

ああ、やれやれこれで帰ることができる。

幸い、家内もわたしも席は離れていたが腰掛けることができた。

 

電車が動き出し、しかし呆気なくこの安息は脆くもかき乱されることになった。

 

次の御幣島駅の手前で、何の予告もなく電車が急停車した。

急ブレーキの弾みで誰もが不意に前方へとカラダをもっていかれ、同時に何が起こったのか悟ることになった。

 

アナウンスが流れた。

緊急停止ボタンが押されたため急停車しました。

案の定、「御幣島駅のホームでお客様が線路に転落した」とのことだった。

 

駅の手前の暗がりのなか、電車が停まってずっと動かないという状態が続いた。

 

さっきトイレを済ませておいてよかった。

わたしは心からそう思った。

夜であり、飲み客など「近くなっている」人も少なくないだろうから、この長い停車は切迫した事態をもたらしかねなかった。

 

電車は全く動かず、アナウンスは同じ説明を繰り返した。

が、15分ほど経過して情報が入ったのだろう、ようやくアナウンスの内容に変化が表れた。

 

現在、鉄道警察が出動し救護に向かっている、とのことだった。

「警察」が「救護」という時点でこれはもう一般的な「救護」ではないのだと察しがついた。

 

停車から30分以上が過ぎ、つり革につかまっていた人はドアにもたれ、中には床に座り込む人もあった。

 

手際よく「救護」したとして、どれくらいの時間がかかるものなのだろう。

イメージしようとして凄惨な図が思い浮かんだので、わたしは他のことを考えることにした。

 

結局、電車が動き始めたのは急停車から40分後だった。

 

車両内の誰もが疲弊していたが、海老江駅を一駅挟んだ二つの駅でほぼ同時に転落事案が立て続いた訳であるから、予備軍を含めればその疲弊はより巨大なものであるはずで、そう思って改めて周囲を見渡すと、その疲弊がよりいっそう生々しいものに感じられた。

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