昼に実家を訪れた。
父の意向を聞いて、お盆の墓参りについて日取りを決めた。
それで本題は終わった。
雑談しつつ、ここ最近の息子たちの近況を話し写真を見せた。
父はわたしのiPhoneを手に取った。
そして孫の様子をもっとよく見ようと虫眼鏡を取り出した。
指でタッチし画像を簡単に拡大できるがいちいちそんな説明は差し挟まず、わたしは父の流儀に任せた。
孫らの確かな成長ぶりを目にして父は満足そうだった。
この夏、長男は都合がつかないようだが、缶ビールと寿司折りを実家に携えまた二男が顔を見せることだろう。
冷房だとカラダが冷える。
そんな理由で扇風機だけが回る実家を小一時間ほどで後にした。
昼食をとるため、商店街を抜けた先にある点心軒へとわたしは向かった。
子どもの頃、母がよくここの餃子を買ってきてくれた。
ここ最近は、たまに母と二人でこの店を訪れ一緒に昼を食べた。
前回、母と訪れたときと同じ席に座り同じメニューを頼んだ。
他に客は一組だけで、ふたつ隣の席で向き合って食事していた。
どこかの母と息子だった。
息子の方は大学生なのだろう。
帰省しておかんと久々に会って昼を食べている、そんな風に見えた。
その様子を横目に見て、わたしは母ともう一緒に食事することはないのだと思い知らされ、心底寂しくなった。
事務所へと戻って業務に励み、夕刻、家内と待ち合わせた。
もともとはこの金曜、事務所の暑気払いの会を家内が企画していた。
特注の肉をオーダーし裏メニューまで手配して、準備万端だった。
ところが月曜にコロナ陽性者が一人発生し、他のメンバーはぴんぴんしていたが、職員から延期した方がとの声もあったので、中止を決めた。
延期した方が、、、といった気持ちを押しのけてまで無理強いするような話でもないだろう。
それで金曜夜の予定が空白になったので、先日ハザマ君に連れて行ってもらった店を予約した。
家内にも食べさせてあげたい。
そう思っていたからちょうどよかった。
京都からの帰途にあった家内と新福島駅で待ち合わせて店に向かった。
思ったとおり家内もたいそう気に入ってくれた。
今度息子たちも呼ぼうとなって、もし土日に予定がないのであれば、金曜夜の汽車に乗ってこっちに戻ってくればいい、ここでゆっくり過ごしてそれで日曜夜に東京に帰るのはどうか。
早速そんなメッセージを家内が息子たちに送ったから、近々、そういった過ごし方も定着するのかもしれない。
息子たちはいまともに20代序盤。
そのうち30代となり40代となって、どんどん男っぷりが増す。
家内と一緒に食事する光景が目に浮かぶ。
息子が二人いる。
その幸せを今後いっそう強く家内は感じることになるのだろう。