彼の地にて彼らの体格を目の当たりにし多少なりとも息子の意識は変わった。
見かけた男子のカラダは一見日本人に似て、しかし似て非なるものであって、おしなべてゴツくてブアツかった。
そういった素材がビジュアルを磨き上げれば韓流スターになるのだろう。
どんだけかっこええねん、という話であるから、ゴツくてブアツいことが自ずとよきこととして認識されることになった。
彼の地で目にした体躯が今後、息子にとっての「普通」になる。
更に意欲的に大いに食べてカラダを鍛えるであろうから、頼もしいことこの上ない。
そしてこの日、家内がこしらえた食事を朝と昼に食べ、おなじく家内がこしらえた弁当を携えて息子は東京へと帰って行った。
たった10日間の帰省であったが、連日出かけて友人らと会い、家でじっとしていることなど一切なかった。
わたしだったら冷房の効いた部屋で高校野球でもみてビールを飲んで過ごしていたことだろう。
そして改めて思うのだった。
66期と会い、短期留学で知り合ったチャイナ女子と会い、こっちで仕事している早稲田法の先輩に会って話を聞いた。
そして先日は、夏季休暇でこっちに帰省していた隣家の女子とたまたま駅で顔を合わせ行き先が同じだったから一緒に並んで座って、勤務する大手企業についてあれこれ話を聞いた。
そして東京に戻ってすぐ、この9月に留学先へと旅立つ筑駒理三の友だちと会う。
長男と同様、二男も人との関わりについて積極的で交流が広く、そして付き合う相手の誰もが、ある意味、ゴツくてブアツい。
ゴツくてブアツい情報の網目のなかにあって、それが息子にとって「普通」のことであるから実に恵まれていると言っていいだろう。
ちょうどいまは夏期講習の時期。
あの頃、家内が毎朝弁当を二食作ってクルマで二男を上本町の能開センターへと送り届けていた。
つい昨日のことのようであるから、あれから9年もの歳月が流れたということがまったくもって信じられない。