元旦の日の昼、伊勢神宮からの帰りに二男は実家に立ち寄り、一方、長男は正月二日目の朝に実家を訪れ、わたしの父に新年の挨拶を済ませた。
老いた身にとって孫は無上の存在だろう。
父は喜び目を細め、おそらくはそのかたわらに母も現れ、一緒になってその成長ぶりを愛でていたに違いない。
長男の帰りを待って正月二日目の昼過ぎ、家族四人で有馬温泉へとクルマを走らせた。
今年は伊勢志摩観光ホテルのベイスイート、鳥羽観光ホテルのオーシャンビュースイート、有馬グランドホテルの別墅結楽(べっしょゆら)の3箇所でキャンセル待ちをし、幸いなこと12月になって有馬から空きが出たとの報せがあった。
食事はともかく部屋がよくて風呂がいい。
即座、一年の出だしをそこで過ごすことに決めた。
所要40分ほどで部屋へと着いて、家内がエステを受ける間、男三人で飲み始めた。
夕飯はビュッフェであったからさして興味なく持ち込んだつまみで早速はじめることにしたのだった。
言わず語らず互いの現在に共感を寄せ、静かにグラスを傾け合った。
歴史を振り返れば由緒正しき温泉地。
その景観を眺めて一緒に過ごし、未知の一年に向け徐々に気持ちが整っていった。